2018年北海道大学理系数学大問5
ついに最終問題です
2018年北海道大学理系数学大問5 2つの関数 がある。 (1)のとき、不等式が成り立つことを示せ。 (2)のとき、不等式が成り立つことを示せ。 (3)の範囲において、2つの曲線および軸が囲む部分の面積を求めよ。
北大らしい計算をするだけといった感じの問題ですね。(1)の主張が面白い。
(考察)
(1)とりあえず定石通り、片方に集めて微分してグラフの概形が分かれば解けますね。
(2)ルートが面倒なので2乗しちゃいましょう。非負なのかの確認を一言添えることを忘れずに。
(3)メインイベント。丁寧に計算しましょう。計算のパターンとしては十分有名なものなので見た途端に解法を思いつくべき問題です。最悪(3)だけでも答案は仕上げちゃいたい。
(解答)
(1)
とおく。このときを示せばよい。
であり、より、を満たすがの範囲でただ1つ存在する。
よっての増減表は
… | … | ||||
↑ | ↓ |
よって、のとき
(2)
を示せばよい。
のときは明らか。またはのときに最小値をとるので、両辺正だから、両辺を2乗しても同値。
よってを示せば十分。
つまり、を示せばよい。とおくと、(1)から
よって、は単調減少なので、が言えればよいが、より、
(3)
(2)より、の範囲において、だから、
を求めればよい。
について、とおくと
より、
よって
基本的な積分計算でしたね。北大の積分にしては難易度が低めかなと思います。落とせない。
というわけで2018年の北大はこれにて終了!ほかの大学もまとめていきますよ~
2018年北海道大学理系数学大問4
学習指導要領の変更によりカテゴリの「数Ⅰ」「数Ⅱ」とかが意味を成さなくなってしまうことに気づいてしまいました
2018年北海道大学理系数学大問4 座標平面上に3点がある。条件 を満たす点の全体をとする。 (1)を座標平面上に図示せよ。またとなるすべての点の座標を求めよ。 (2)とし、を点とする。条件を満たすの点が存在するようなの値の範囲を求めよ。
(考察)
(1)の座標が与えられているのがなんとも優しい。素直に計算してあげればOK
(2)難しい。とりあえず条件を求めるところまでできれば十分な部分点がもらえそうです。本番は捨ててもよいかもしれませんね。図示とかしてるし線形計画法的な感じかな~と思いつくかどうか。
(解答)
(1)
で、すべて正だから
距離の公式をそのまま当てはめると
これを整理すると
これらを図示すると
等号成立は2つのグラフの交点。円を式に直線の式を代入すると
これを直線の式に代入するとが得られる。
(2)
で、両辺正より
距離の公式をあてはめて
(考察2)
ここで直線の式が出てきましたが、線形計画法などでも注意が必要なのが、直線の傾きです。
今基準となる傾きはで使われている直線の傾きである「」です。今回はがという範囲のもとで動くので傾きはという範囲で動きます。平たく言えば、の直線部分よりも寝ている直線しか出来ないわけですね。
そのため、鉛筆などを寝かせて動かしてあげると少しわかりやすくなるのですが、今求めた条件を満たす点が存在する条件は(1)で求めた点のうちのほうが求めた条件に含まれるということが分かります。
これはあくまで条件の直線部分の傾きが寝ているからの話であり、上の例2はそれが成り立っていないことが分かると思います。(その場合はが含まれるというのが条件になります)
(解答続き)
問題のの範囲からがわかる。
よって
内の点で条件を満たす点が存在するがに含まれる
となる。
つまり
つまり、求める範囲は
(2)は試験場での緊張感などを考慮すると思いつくのは難しいかもしれません。なので、あまり合否を分ける問題にはならなかったかもしれませんね。
ですが、この考え方は線形計画法でよく用いますので絶対に覚えておいて損はないです。
北大の理系数学もあと一問ですね。北大が終わったら東北大、一橋大、東工大、その他医大とかもまとめたいものですが。果たして。
2018年札幌医科大学大問1
札医大です。医大の問題は特殊ですけど札医大はまだマシな方の部類...
2018年札幌医科大学数学大問1 次の各問に答えよ (1)実数に対して が成り立つとする。このときであることを証明せよ (2)を実数とするこのとき、実数全体からなる集合の2つの部分集合 をみたす実数が存在する すべての実数に対してが成り立つ を考える。このときが成り立つためのに関する必要十分条件を求めよ (3)とし、点は、軸からの距離と点からの距離がをみたすものとする。が次の値のとき、点の軌跡を求めよ (ア) (イ) (ウ)
医大によくある(?)小問集合ですね。本番では絶対落とせない。
(考察)
(1)対称性がある感じの式なので、うまく対称性を作り出したらどうにかなりそう?と思えればよいのですが...
とにかく式変形を繰り返して上手くいきそうな形になるまであきらめない。
(2)まずはを正しく導出。ここで間違うと痛い。どちらの場合もを定数とみなして、結論を得てからを変数と見なして動かす、という手法をとりたい。のほうはの値によって上に凸、直線、下に凸に変化するので要注意。
の定義をしっかり押さえたいですね。ベン図とか書いたときに集合が集合にすっぽり覆われる状態になればOK。
厳密に書くと、となります。
必要十分条件を求めるので、逆の確認も忘れない事!
(3)ただただ面倒くさいだけの問題。丁寧に追いましょう。おそらく問題の背景にあるのは離心率。
(解答)
(1)
より、
よって
1式目に2式目を代入すると
これを3式目に代入すると
ここで、と仮定すると
となるが、問題の仮定よりすなわち
よって左辺が負なので矛盾。である。
この式を与えられた式に代入すると
後ろ2つの式からが得られ、を得る。
(2)
「をみたす実数が存在する」とは、この方程式の判別式がであることだから
すなわち
よって
「すべての実数に対してが成り立つ」について考える。
・のとき
左辺は下に凸の二次関数のグラフを描くので、が実数解を持たなければよい
つまりこの方程式の判別式がを満たせばよい
よって
・のとき
はとなる。
(i)のとき
すべての実数に対してとなり、これは適。
(ii)のとき
とすればとなるため、条件を満たすは存在しない
(i)(ii)より
・のとき
左辺は上に凸の二次関数のグラフを描くため、必ず負の値をとるようなが存在する。
よって、条件に合うようなは存在しない
以上より
を図示すると次のようになる
図からとなっているの範囲はとわかる
(3)
であり、だから
(ア)
つまり
楕円
(イ)
つまり
放物線
(ウ)
つまり
双曲線
基本が詰まったような問題ですね。(2)の範囲の等号ミスに気を付けましょう
ブログの方針
なんとなく書いておこう。
基本は大学入試数学の解説を行いたいです。対象は受験者層。勉強の助けになるように丁寧に解説したいですね。
あとはたまに日記的なのも。大学数学の話もいつかしたいけど、大学数学につまずいてる人なのでどうしようもない。
のほほんと取り組んでいきます
2018年一橋大学文系数学大問1
一橋大も易化しましたね。最近は難関大が易化傾向にあるようで...
2018年一橋大学文系数学大問1 正の整数の各位の和をで表す。たとえば である。 (1)のとき、不等式を示せ。 (2)を満たすを求めよ。
誘導がありがたい問題ですね。桁数が4桁に絞られるので扱いやすくなります。
一橋大の整数、このパターン多いのかも?
(考察)
(1)の値は桁数に応じて変化しますが、上からも下からも押さえることができるので、うまく不等式の関係を使えそうですね。とりあえず、帰納法が良いのでは。
(2)(1)の主張からは4桁以下であることが分かりますから、あとは整数問題として解きましょう。うまく範囲を絞っていけば簡単簡単。
(解答)
(1)
のとき、は5桁以上であるから、を桁とすると
の最大値は、が個連なった時の、最小値は最高位がで残りがの時のだから
また、が桁の時
である。
よって、不等式を示すには
を示せば十分。
以下、この不等式を数学的帰納法で示す。
とおく
(i)のとき
よって、適。
(ii)と仮定、つまりとするとき
となり、となる
(i)(ii)よりのときであることが示され、のとき、であることが示された。
(2)
(1)よりが5桁以上であるとき等号は成立しない。よっては4桁以下であるから
は以上の桁の整数
と表せる。
このとき、だから、与えられた方程式は
となる。
ここで、であるからについて絞り込みを行う。
つまり
よって
つまり
である。
これを満たすはのみ。
よって方程式は
となる。
ここで、であるから、はの倍数。
一の位がになることを考えると、のみであることがわかる。
よって、方程式は
となる。
つまり
だから
以上より
絞り込みを何度も用いるタイプの問題でした。やはり一橋大にしてはかなり易しめですね。