2018年東北大学理系数学大問1

南下しまして東北大です。

2018年東北大学理系数学大問1
xy平面における2つの放物線C:y=(x-a)^2+b,D:y=-x^2を考える。
(1)CDが異なる2点で交わり、その2交点のx座標の差が1となるように実数a,bが動くとき、Cの頂点(a,b)の軌跡を図示せよ。
(2)実数a,bが(1)の条件を満たしながら動くとき、CDの2交点を結ぶ直線が通過する範囲を求め、図示せよ。

こちらは易問。(2)までちゃんと得点しましょう。

(考察)
(1)まずは判別式を使って実数解を持つ条件を出します。それから、実際に解を求めて、差をとって考えてあげてもよいし、かっこよく「解と係数の関係」と「基本対称式」を使ってあげるのもおしゃれですね。今回はおしゃれに後者で。
(2)よくある問題ですね。こういう問題はa,bいずれかの文字だけにまとめてあげて、その文字が実数になるように、いろいろ工夫してあげるという定石通りの解法です。


(解答)
(1)
2交点のx座標を\alpha , \betaとおく(\alpha < \beta)
このとき、\alpha , \betaCDを連立した方程式
    (x-a)^2+b=-x^2
の解になる。
これを整理すると
    2x^2-2ax+a^2+b=0
である。
これが異なる2つの実数解を持つためには判別式\frac{D_1}{4}=a^2-2a^2-2b=-a^2-2b>0が条件。つまり
    \begin{eqnarray}b<-\frac{1}{2}a^2\end{eqnarray}
また、解と係数の関係から
    \begin{eqnarray}\alpha+\beta&=&a\\
\alpha\beta&=&\frac{a^2+b}{2}\end{eqnarray}
いま、x座標の差が1だから、\beta-\alpha=1であるから、
    \begin{eqnarray}(\beta-\alpha)^2&=&1\\
\alpha^2-2\alpha\beta+\beta^2&=&1\\
(\alpha+\beta)^2-4\alpha\beta=1\\
a^2-4\cdot\frac{a^2+b}{2}&=&1\\
a^2-2a^2-2b&=&1\\
b&=&-\frac{1}{2}a^2-\frac{1}{2}\end{eqnarray}
これは上で求めた条件を満たすので、求める軌跡は次の図。
f:id:tamazarasi:20180308141702j:plain:w300

(2)
(1)より2交点のx座標を求める方程式は
    \begin{eqnarray}2x^2-2ax+a^2-\frac{1}{2}a^2-\frac{1}{2}&=&0\\
4x^2-4ax+a^2-1&=&0\\
\{2x-(a+1)\}\{2x-(a-1)\}&=&0\\
x&=&\frac{a+1}{2},\frac{a-1}{2}\end{eqnarray}
よって、2交点は\begin{eqnarray}(\frac{a+1}{2},-\frac{a^2+2a+1}{4}),(\frac{a-1}{2},-\frac{a^2-2a+1}{4})\end{eqnarray}
この2点を通る直線の方程式は
    \begin{eqnarray}y+\frac{a^2+2a+1}{4}&=&\frac{-\frac{a^2+2a+1}{4}+\frac{a^2-2a+1}{4}}{\frac{a+1}{2}-\frac{a-1}{2}}(x-\frac{a+1}{2})\\
y&=&-a(x-\frac{a+1}{2})-\frac{a^2+2a+1}{4}\\
4y&=&-2a(2x-a-1)-a^2-2a-1\\
4y&=&-4ax+a^2-1\end{eqnarray}
今、aが実数全体をうごくので、aについての2次方程式a^2-4xa-4y-1=0の判別式D_2D_2 \ge 0となる。
    \begin{eqnarray}\frac{D_2}{4}=4x^2+4y+1&\ge &0\\
y &\ge &-x^2-\frac{1}{4}\end{eqnarray}
よって、直線が通過する範囲は以下の図(境界を含む)。
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(2)で使った考え方はよく使うので覚えておくとよいでしょう。aが実数になるようにうまく条件式を見つけてあげればOKです。
後期試験の問題も早く解きたいですね~

2018年北海道大学理系数学大問5

ついに最終問題です

2018年北海道大学理系数学大問5
2つの関数
    \begin{eqnarray} f(x)=\cos x,g(x)=\sqrt{\frac{\pi^2}{2}-x^2}-\frac{\pi}{2}\end{eqnarray}
がある。
(1)\begin{eqnarray}0 \le x \le \frac{\pi}{2}\end{eqnarray}のとき、不等式\begin{eqnarray}\frac{2}{\pi}x \le \sin x\end{eqnarray}が成り立つことを示せ。
(2)\begin{eqnarray}0 \le x \le \frac{\pi}{2}\end{eqnarray}のとき、不等式g(x)\le f(x)が成り立つことを示せ。
(3)\begin{eqnarray}0 \le x \le \frac{\pi}{2}\end{eqnarray}の範囲において、2つの曲線y=f(x),y=g(x)およびy軸が囲む部分の面積を求めよ。

北大らしい計算をするだけといった感じの問題ですね。(1)の主張が面白い。

(考察)
(1)とりあえず定石通り、片方に集めて微分してグラフの概形が分かれば解けますね。
(2)ルートが面倒なので2乗しちゃいましょう。非負なのかの確認を一言添えることを忘れずに。
(3)メインイベント。丁寧に計算しましょう。計算のパターンとしては十分有名なものなので見た途端に解法を思いつくべき問題です。最悪(3)だけでも答案は仕上げちゃいたい。


(解答)
(1)
\begin{eqnarray}h(x)=\sin x-\frac{2}{\pi}x\end{eqnarray}とおく。このときh(x) \ge 0を示せばよい。
\begin{eqnarray}h’(x)=\cos x-\frac{2}{\pi}\end{eqnarray}であり、\begin{eqnarray}0<\frac{2}{\pi}<1\end{eqnarray}より、\begin{eqnarray}\cos\alpha=\frac{2}{\pi}\end{eqnarray}を満たす\alpha\begin{eqnarray}0<\alpha<\frac{\pi}{2}\end{eqnarray}の範囲でただ1つ存在する。
よってh(x)の増減表は

x 0 \alpha \frac{\pi}{2}
h' + 0 -
h 0 h(\alpha) 0

よって、\begin{eqnarray}0 \le x \le \frac{\pi}{2}\end{eqnarray}のときh(x)\ge 0

(2)
f(x)-g(x) \ge 0を示せばよい。
    \begin{eqnarray} f(x)-g(x) & \ge& 0\\
\cos x -\sqrt{\frac{\pi^2}{2}-x^2}+\frac{\pi}{2}&\ge& 0\\
\cos x+\frac{\pi}{2} & \ge & \sqrt{\frac{\pi^2}{2}-x^2}\\
\end{eqnarray}
\begin{eqnarray}0 \le x \le \frac{\pi}{2}\end{eqnarray}のとき\begin{eqnarray}\cos x+\frac{\pi}{2} \ge \frac{\pi}{2}\end{eqnarray}は明らか。また\begin{eqnarray}\sqrt{\frac{\pi^2}{2}-x^2}\end{eqnarray}\begin{eqnarray}x = \frac{\pi}{2}\end{eqnarray}のときに最小値\begin{eqnarray}\frac{\pi}{2}\end{eqnarray}をとるので、両辺正だから、両辺を2乗しても同値。
よって\begin{eqnarray}(\cos x+\frac{\pi}{2})^2 & \ge & \frac{\pi^2}{2}-x^2 \end{eqnarray}を示せば十分。
つまり、\begin{eqnarray} x^2+\cos^2x+\pi\cos x-\frac{\pi^2}{4} \ge 0\end{eqnarray}を示せばよい。\begin{eqnarray} i(x)=x^2+\cos^2x+\pi\cos x-\frac{\pi^2}{4}\end{eqnarray}とおくと、(1)から
    \begin{eqnarray} i'(x)&=&2x-\sin{2x}-\pi\sin x\\
& \le & 2x-\sin{2x}-\pi\cdot \frac{2}{\pi}x\\
& = & 2x-\sin{2x}-2x\\
& = &-\sin{2x} \le 0\end{eqnarray}
よって、i(x)は単調減少なので、\begin{eqnarray}i(\frac{\pi}{2}) \ge 0\end{eqnarray}が言えればよいが、\begin{eqnarray}i(\frac{\pi}{2})=0\end{eqnarray}より、i(x) \ge 0

(3)
(2)より、\begin{eqnarray}0 \le x \le \frac{\pi}{2}\end{eqnarray}の範囲において、f(x)-g(x) \ge 0だから、
    \begin{eqnarray}\displaystyle \int_0^{\frac{\pi}{2}}(\cos x -\sqrt{\frac{\pi^2}{2}-x^2}+\frac{\pi}{2})dx \end{eqnarray}
を求めればよい。
    \begin{eqnarray}\displaystyle \int_0^{\frac{\pi}{2}}(\cos x -\sqrt{\frac{\pi^2}{2}-x^2}+\frac{\pi}{2})dx &=& 
\int_0^{\frac{\pi}{2}}(\cos x +\frac{\pi}{2})dx-\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{\frac{\pi^2}{2}-x^2}dx\\
&=&[ \sin x+\frac{\pi}{2}x ] ^{\frac{\pi}{2}}_0 - \int_0^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{\frac{\pi^2}{2}-x^2}dx\\
&=&1+\frac{\pi^2}{4} - \int_0^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{\frac{\pi^2}{2}-x^2}dx
\end{eqnarray}

\begin{eqnarray}\displaystyle \int_0^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{\frac{\pi^2}{2}-x^2}dx \end{eqnarray}について、\begin{eqnarray}x=\frac{\pi}{\sqrt{2}}\sin\theta\end{eqnarray}とおくと
    \begin{eqnarray}\frac{dx}{d\theta}=\frac{\pi}{\sqrt{2}}\cos\theta\end{eqnarray}

x 0\to \frac{\pi}{2}
\theta 0 \to \frac{\pi}{4}

より、
    \begin{eqnarray}\displaystyle \int_0^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{\frac{\pi^2}{2}-x^2}dx &=& \int_0^{\frac{\pi}{4}}\sqrt{\frac{\pi^2}{2}-\frac{\pi^2}{2}\sin^2\theta}\frac{\pi}{\sqrt{2}}\cos\theta d\theta\\
&=&\frac{\pi^2}{2} \int_0^{\frac{\pi}{4}}\sqrt{1-\sin^2\theta}\cos\theta d\theta\\
&=&\frac{\pi^2}{2} \int_0^{\frac{\pi}{4}}\cos^2\theta d\theta\\
&=&\frac{\pi^2}{2} \int_0^{\frac{\pi}{4}}\frac{\cos 2\theta+1}{2} d\theta\\
&=&\frac{\pi^2}{4} [\frac{\sin 2\theta}{2}+\theta]_0^{\frac{\pi}{4}}\\
&=&\frac{\pi^2}{4}(\frac{1}{2}+\frac{\pi}{4})\\
&=&\frac{\pi^2}{8}+\frac{\pi^3}{16}
\end{eqnarray}

よって
    \begin{eqnarray}\displaystyle \int_0^{\frac{\pi}{2}}(f(x)-g(x))dx &=& 1+\frac{\pi^2}{4} - (\frac{\pi^2}{8}+\frac{\pi^3}{16})\\
&=& 1+\frac{\pi^2}{8} - \frac{\pi^3}{16}\end{eqnarray}




基本的な積分計算でしたね。北大の積分にしては難易度が低めかなと思います。落とせない。
というわけで2018年の北大はこれにて終了!ほかの大学もまとめていきますよ~

2018年北海道大学理系数学大問4

学習指導要領の変更によりカテゴリの「数Ⅰ」「数Ⅱ」とかが意味を成さなくなってしまうことに気づいてしまいました

2018年北海道大学理系数学大問4
座標平面上に3点\begin{eqnarray}\mathrm{O}(0,0),\mathrm{A}(\frac{15}{2},0),\mathrm{B}(11,11)\end{eqnarray}がある。条件
    \mathrm{BQ} \ge \mathrm{OQ} \ge 2\mathrm{AQ}
を満たす点\mathrm{Q}(x,y)の全体をDとする。
(1)Dを座標平面上に図示せよ。また\mathrm{BQ}=\mathrm{OQ}=2\mathrm{AQ}となるすべての点\mathrm{Q}の座標を求めよ。
(2) 0 < p \le 11とし、\mathrm{P}を点(p,11)とする。条件\mathrm{OQ} \ge \mathrm{PQ}を満たすDの点\mathrm{Q}が存在するようなpの値の範囲を求めよ。


(考察)
(1)\mathrm{Q}の座標が与えられているのがなんとも優しい。素直に計算してあげればOK
(2)難しい。とりあえず条件を求めるところまでできれば十分な部分点がもらえそうです。本番は捨ててもよいかもしれませんね。図示とかしてるし線形計画法的な感じかな~と思いつくかどうか。


(解答)
(1)
\mathrm{BQ} \ge \mathrm{OQ} \ge 2\mathrm{AQ}で、すべて正だから
    \mathrm{BQ}^2 \ge \mathrm{OQ}^2 \ge 4\mathrm{AQ}^2
距離の公式をそのまま当てはめると
    \begin{eqnarray}(x-11)^2+(y-11)^2 \ge x^2+y^2 \ge 4\{(x-\frac{15}{2})^2+y^2\}\end{eqnarray}
これを整理すると
    y\le -x+11,(x-10)^2+y^2 \le 25
これらを図示すると
    

f:id:tamazarasi:20180305021428j:plain
濃い色の部分が求める範囲

等号成立は2つのグラフの交点。円を式に直線の式を代入すると
    \begin{eqnarray}(x-10)^2+(-x+11)^2&=&25\\
2x^2-42x+196&=&0\\
x-21x+98&=&0\\
(x-7)(x-14)&=&0\\
x&=&7,14
\end{eqnarray}
これを直線の式に代入すると(7,4),(14,-3)が得られる。


(2)
\mathrm{OQ} \ge \mathrm{PQ}で、両辺正より\mathrm{OQ}^2 \ge \mathrm{PQ}^2
距離の公式をあてはめて
    \begin{eqnarray}x^2+y^2 &\ge& (x-p)^2+(y-11)^2\\
22y &\ge& -2px+p^2+121\\
y&\ge& -\frac{p}{11}x+\frac{p^2+121}{22}\end{eqnarray}


(考察2)
ここで直線の式が出てきましたが、線形計画法などでも注意が必要なのが、直線の傾きです。
今基準となる傾きはDで使われている直線の傾きである「-1」です。

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例1:傾き-10/11
f:id:tamazarasi:20180305025739j:plain:w300
例2:傾き-3(実際の直線とは異なります)
今回はp0  < p\le 11という範囲のもとで動くので傾き\begin{eqnarray}-\frac{p}{11}\end{eqnarray}\begin{eqnarray}-1 \le -\frac{p}{11} <0\end{eqnarray}という範囲で動きます。平たく言えば、Dの直線部分よりも寝ている直線しか出来ないわけですね。
そのため、鉛筆などを寝かせて動かしてあげると少しわかりやすくなるのですが、今求めた条件を満たす点が存在する条件は(1)で求めた点のうち(7,4)のほうが求めた条件に含まれるということが分かります。
これはあくまで条件の直線部分の傾きが寝ているからの話であり、上の例2はそれが成り立っていないことが分かると思います。(その場合は(14,-3)が含まれるというのが条件になります)


(解答続き)
問題のpの範囲から\begin{eqnarray}-1 \le -\frac{p}{11} <0\end{eqnarray}がわかる。
よって
    D内の点で条件を満たす点が存在する\Leftrightarrow(7,4)\begin{eqnarray}y&\ge& -\frac{p}{11}x+\frac{p^2+121}{22}\end{eqnarray}に含まれる
となる。
つまり
    \begin{eqnarray}4&\ge&-\frac{p}{11}\cdot 7+\frac{p^2+121}{22}\\
88&\ge&-14p+p^2+121\\
p^2-14p+33&\le& 0\\
(p-11)(p-3)&\le& 0\\
\end{eqnarray}
つまり、求める範囲は3\le p\le 11



(2)は試験場での緊張感などを考慮すると思いつくのは難しいかもしれません。なので、あまり合否を分ける問題にはならなかったかもしれませんね。
ですが、この考え方は線形計画法でよく用いますので絶対に覚えておいて損はないです。

北大の理系数学もあと一問ですね。北大が終わったら東北大、一橋大、東工大、その他医大とかもまとめたいものですが。果たして。

2018年札幌医科大学大問1

医大です。医大の問題は特殊ですけど札医大はまだマシな方の部類...

2018年札幌医科大学数学大問1
次の各問に答えよ
(1)実数x \ge 0,y \ge 0,z \ge 0に対して
    x+y^2=y+z^2=z+x^2
 が成り立つとする。このときx=y=zであることを証明せよ

(2)xを実数とするこのとき、実数全体からなる集合の2つの部分集合
    P(x) = \{y|t^2+xt+|y|=0をみたす実数tが存在する \}
    Q(x) = \{y|すべての実数tに対してxt^2+yt+1>0が成り立つ \}
 を考える。このときP(x) \subset Q(x)が成り立つためのxに関する必要十分条件を求めよ

(3)a>0とし、点P(x,y)は、y軸からの距離d_1と点(2,0)からの距離d_2ad_1=d_2をみたすものとする。aが次の値のとき、点P(x,y)の軌跡を求めよ
 (ア)a=\frac{1}{2}
 (イ)a=1
 (ウ)a=2

医大によくある(?)小問集合ですね。本番では絶対落とせない。

(考察)
(1)対称性がある感じの式なので、うまく対称性を作り出したらどうにかなりそう?と思えればよいのですが...
  とにかく式変形を繰り返して上手くいきそうな形になるまであきらめない。

(2)まずはP(x),Q(x)を正しく導出。ここで間違うと痛い。どちらの場合もxを定数とみなして、結論を得てからxを変数と見なして動かす、という手法をとりたい。Q(x)のほうはxの値によって上に凸、直線、下に凸に変化するので要注意。
  P(x) \subset Q(x)の定義をしっかり押さえたいですね。ベン図とか書いたときに集合P(x)が集合Q(x)にすっぽり覆われる状態になればOK。
  厳密に書くと、x \in P(x) \Rightarrow x \in Q(x)となります。
  必要十分条件を求めるので、逆の確認も忘れない事!

(3)ただただ面倒くさいだけの問題。丁寧に追いましょう。おそらく問題の背景にあるのは離心率。


(解答)
(1)
x+y^2=y+z^2=z+x^2より、
    \begin{eqnarray}x+y^2&=&y+z^2\\y+z^2&=&z+x^2\\z+x^2&=&x+y^2 \end{eqnarray}
よって
    \begin{eqnarray}x-y&=&(z+y)(z-y)\\y-z&=&(x+z)(x-z)\\z-x&=&(y+x)(y-x) \end{eqnarray}
1式目に2式目を代入すると
    \begin{eqnarray}x-y&=&-(z+y)(y-z)\\
&=&-(z+y)(x+z)(x-z)\\
y-x&=&(z+y)(x+z)(x-z) \end{eqnarray}
これを3式目に代入すると
    \begin{eqnarray}z-x&=&(y+x)(z+y)(x+z)(x-z)
 \end{eqnarray}
ここで、x\neq zと仮定すると
    -1=(x+y)(y+z)(z+x)
となるが、問題の仮定よりx+y \ge 0,y+z \ge 0,z+x\ge 0すなわち(x+y)(y+z)(z+x) \ge 0
よって左辺が負なので矛盾。x=zである。
この式を与えられた式に代入すると
    z+y^2=y+z^2=z+z^2
後ろ2つの式からy=zが得られ、x=y=zを得る。


(2)
t^2+xt+|y|=0をみたす実数tが存在する」とは、この方程式の判別式D_1D_1 \ge 0であることだから
    D_1=x^2-4|y| \ge 0
すなわち
    \begin{eqnarray}-\frac{1}{4}x^2 \le y\le\frac{1}{4}x^2 \end{eqnarray}
よって
    \begin{eqnarray} P(x)=\{y|-\frac{1}{4}x^2 \le y\le\frac{1}{4}x^2 \}\end{eqnarray}

「すべての実数tに対してxt^2+yt+1>0が成り立つ」について考える。
x>0のとき
 左辺は下に凸の二次関数のグラフを描くので、xt^2+yt+1=0が実数解を持たなければよい
 つまりこの方程式の判別式D_2D_2<0を満たせばよい
    D_2=y^2-4x<0
 よって
    \begin{eqnarray} x>\frac{1}{4}y^2 \end{eqnarray}

x=0のとき
 xt^2+yt+1>0yt+1>0となる。
 (i)y=0のとき
  すべての実数yに対して1>0となり、これは適。
 (ii)y \neq 0のとき
  t=-\frac{1}{y}とすればyt+1=0となるため、条件を満たすyは存在しない
 (i)(ii)より
    y=0

x<0のとき
 左辺は上に凸の二次関数のグラフを描くため、必ず負の値をとるようなtが存在する。
 よって、条件に合うようなyは存在しない

以上より
    Q(x) = \left\{ \begin{array}{ll}
    \begin{eqnarray} x>\frac{1}{4}y^2 \end{eqnarray} & (x>0) \\
    0 & (x=0)
  \end{array} \right.


P(x),Q(x)を図示すると次のようになる

f:id:tamazarasi:20180304022855j:plain:w300
青:P(x) 赤:Q(x)

図から P(x) \subset Q(x)となっているxの範囲は0 \le x < 4とわかる


(3)
d_1=x,d_2=\sqrt{(x-2)^2+y^2}であり、ad_1=d_2 \Rightarrow a^2d_1^2=d_2^2だから
    a^2x^2=(x-2)^2+y^2
 (ア)a=\frac{1}{2}
    \begin{eqnarray}(x-\frac{8}{3})^2+\frac{4}{3}y^2=\frac{16}{9}\end{eqnarray}
   つまり
    楕円\begin{eqnarray}\frac{(x-\frac{8}{3})^2}{(\frac{4}{3})^2}+\frac{y^2}{(\frac{2}{\sqrt{3}})^2}=1\end{eqnarray}

 (イ)a=1
    \begin{eqnarray}x=\frac{1}{4}y^2+1\end{eqnarray}
   つまり
    放物線\begin{eqnarray}x=\frac{1}{4}y^2+1\end{eqnarray}

 (ウ)a=2
    \begin{eqnarray}(x+\frac{2}{3})^2-\frac{1}{3}y^2=\frac{16}{9}\end{eqnarray}
   つまり
    双曲線\begin{eqnarray}\frac{(x+\frac{2}{3})^2}{(\frac{16}{9})^2}-\frac{y^2}{(\frac{4}{\sqrt{3}})^2}=1\end{eqnarray}




基本が詰まったような問題ですね。(2)の範囲の等号ミスに気を付けましょう

ブログの方針

なんとなく書いておこう。
基本は大学入試数学の解説を行いたいです。対象は受験者層。勉強の助けになるように丁寧に解説したいですね。
あとはたまに日記的なのも。大学数学の話もいつかしたいけど、大学数学につまずいてる人なのでどうしようもない。

のほほんと取り組んでいきます