2018年北海道大学理系数学大問1

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2018年北海道大学理系数学大問1
座標空間の4点A(-\frac{\sqrt{3}}{2},\frac{1}{2},0),B(0,0,1),C(-\frac{1}{2},-\frac{\sqrt{3}}{2},-1),D(\frac{1}{2},\frac{\sqrt{3}}{2},-1)に対し、
    \overrightarrow{p}=(1-t)\overrightarrow{OA}+t\overrightarrow{OB},\overrightarrow{q}=(1-s)\overrightarrow{OC}+s\overrightarrow{OD}
とおく。ただし、Oは原点、s,tは実数とする
(1)|\overrightarrow{p}|,|\overrightarrow{q}|内積\overrightarrow{p}\cdot\overrightarrow{q}s,tで表せ。
(2)t=\frac{1}{2}のとき、ベクトル\overrightarrow{p}\overrightarrow{q}のなす角が\frac{3}{4}\piとなるようなsの値を求めよ。
(3)stが実数をうごくとき|\overrightarrow{p}-\overrightarrow{q}|の最小値を求めよ。

各予備校の判断も易だった、易しめの問題です。北大はこのような基礎を問う問題が出題されるのでぜひ押さえておきたい問題です。

(考察)
あまり考察することもないですが、計算量はまぁまぁあるので丁寧に計算しましょう。
内積は、|\overrightarrow{a}||\overrightarrow{b}|\cos \thetaと成分表示の2パターンの求め方ができることは必ず押さえましょう
ベクトルの大きさは2乗するとルートが外れたり内積が登場したりして扱いやすくなります。

(解答)
(1)
\begin{eqnarray}
\overrightarrow{p}&=&(1-t)\overrightarrow{OA}+t\overrightarrow{OB}\\
&=&(1-t)(-\frac{\sqrt{3}}{2},\frac{1}{2},0)+t(0,0,1)\\
&=&(-\frac{\sqrt{3}(1-t)}{2},\frac{1-t}{2},t)
\end{eqnarray}
より、
\begin{eqnarray}|\overrightarrow{p}|^2&=&\{-\frac{\sqrt{3}(1-t)}{2}\}^2+(\frac{1-t}{2})^2+t^2\\
&=&\frac{3}{4}(1-t)^2+\frac{(1-t)^2}{4}+t^2\\
&=&2t^2-2t+1
\end{eqnarray}
よって
|\overrightarrow{p}|=\sqrt{2t^2-2t+1}

\begin{eqnarray}
\overrightarrow{q}&=&(1-s)\overrightarrow{OC}+s\overrightarrow{OD}\\
&=&(1-s)(-\frac{1}{2},-\frac{\sqrt{3}}{2},-1)+s(\frac{1}{2},\frac{\sqrt{3}}{2},-1)\\
&=&(s-\frac{1}{2},\sqrt{3}(s-\frac{1}{2}),-1)
\end{eqnarray}
より、同様にして
|\overrightarrow{q}|=\sqrt{4s^2-4s+2}

\begin{eqnarray}
\overrightarrow{p}\cdot\overrightarrow{q}&=&(-\frac{\sqrt{3}(1-t)}{2},\frac{1-t}{2},t)\cdot(s-\frac{1}{2},\sqrt{3}(s-\frac{1}{2}),-1)\\
&=&-\frac{\sqrt{3}(1-t)}{2}(s-\frac{1}{2})+\frac{1-t}{2}\sqrt{3}(s-\frac{1}{2})+t\cdot(-1)\\
&=&-t
\end{eqnarray}

(2)
\cos\frac{3}{4}\pi=\frac{\overrightarrow{p}\cdot\overrightarrow{q}}{|\overrightarrow{p}||\overrightarrow{q}|}だからt=\frac{1}{2}より
\begin{eqnarray}-\frac{\sqrt{2}}{2}&=&\frac{-\frac{1}{2}}{\sqrt{2\cdot(\frac{1}{2})^2-2\cdot\frac{1}{2}+1}\sqrt{4s^2-4s+2}}\\
\sqrt{4s^2-4s+2}&=&1\\
4s^2-4s+2&=&1\\
4s^2-4s+1&=&0\\
(2s-1)^2&=&0\\
s&=&\frac{1}{2}
\end{eqnarray}

(3)
\begin{eqnarray}|\overrightarrow{p}-\overrightarrow{q}|^2&=&|\overrightarrow{p}|^2-2\overrightarrow{p}\cdot\overrightarrow{q}+|\overrightarrow{q}|^2\\
&=&2t^2-2t+1-2(-t)+4s^2-4s+2\\
&=&2t^2+(2s-1)^2+2\end{eqnarray}
より、
t=0,s=\frac{1}{2}のときに最小値\sqrt{2}



(1)で求めた値が間違っていると雪崩式に失点することになるので注意!
(2)と(3)がほとんど関係ないのが残念な感じの問題ですね。これなら(2)いらない...
(3)は予選決勝法かと思いきや、独立して2乗の項が作れたので面白みのない感じになってしまいましたね。
北大らしい良い意味でも悪い意味でも外してくる問題でした。

2018年東京大学理系数学大問1

今年も易しめの問題が多かったようですね。後半は難しいらしいですが。

2018年東京大学理系数学大問1
関数f(x)=\frac{x}{\sin x}+\cos x  {(}0<{x}<\pi)
の増減表を作りx\to +0,x\to\pi-0のときの極限を調べよ

う~ん、どうしたものか、東大よ...

(考察)
導関数が厄介な形になりますがうまく変形していきましょう。慣れです。

(解答)
\begin{eqnarray}
f'(x)&=&\frac{\sin x-x\cos x}{\sin ^2x}-\sin x\\
&=&\frac{\sin x-x\cos x-\sin ^3x}{\sin ^2x}\\
&=&\frac{\sin x(1-\sin ^2x)-x\cos x}{\sin ^2x}\\
&=&\frac{\sin x \cos ^2x-x\cos x}{\sin^2x}\\
&=&\frac{\cos x}{\sin^2x}(\frac{1}{2}\sin 2x-x)
\end{eqnarray}

g(x)=\frac{1}{2}\sin 2x-xとすると
g'(x)=\cos 2x-1<0よりg(x)0<{x}<\piで単調減少だから
g'(0)=0より)g(x)<0

よってf'(x)=0\Leftrightarrow \cos x=0\Leftrightarrow x=\frac{\pi}{2}

増減表は

x {(}0) \frac{\pi}{2} {(}\pi)
f' - 0 +
f \frac{\pi}{2}

極限を考える。
\displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{x}{\sin x} =1を用いて

\displaystyle \lim_{x \to +0} {(}\frac{x}{\sin x} + \cos x{)}=1+1=2

\displaystyle \lim_{x \to \pi-0} {(}\frac{x}{\sin x} + \cos x{)} = (\frac{\pi}{0} -1) =+\infty

(追記 2018/2/28)
最後の式変形間違えていました。修正しました

2018年東京工業大学数学大問2

またまた整数。どうしても整数から解いてしまう癖がありますね。

2018年東京工業大学数学大問2
次の問いに答えよ
(1)35x+91y+65z=3を満たす整数の組(x,y,z)を一組求めよ
(2)35x+91y+65z=3を満たす整数の組(x,y,z)の中でx^2+y^2の値が最小となるもの、およびその最小値を求めよ

個人的にかなり好きな問題です。
良問なので、考察を挟みながら回答を仕上げていきます。

(考察1)
整数解が求まりづらい不定方程式は、ユークリッドの互除法を用いることが多いですね。
しかし、いつもは2変数。今回は3変数なのでさてどうしよう。
そこでよ~く、方程式を眺めてみると...係数が...
x,yについては7で、y,zについては13で、z,xについては5で括れますね。
2変数をまとめて1変数にしてしまえば3変数の方程式が2変数の方程式になるわけです!やったね!
今回は7で括りたいと思います。なぜかというと、(2)で、x^2+y^2についての話になるので、この2つをまとめておきたいと思ったからです。5で括っても13で括ってもうまくいきます。

(解答)
(1)
\begin{eqnarray}
35x+91y+65z&=&3\\
7(5x+13y)+65z&=&3
\end{eqnarray}
ここで、5x+13y=aとおくと
7a+65z=3
(ユークリッドの互除法などを使って)この方程式の整数解の1つは(a,z)=(19,-2)
a=5x+13y=19を解くと、例えば(x,y)=(-4,3)などが得られる。
よって
(x,y,z)=(-4,3,-2)(など)


(考察2)
さぁ、ここからです。
(1)を踏まえてどのように解答を作っていくのかを考えてみます。
まず、(5x+13y,z)を求めることができ、そこから(x,y)も求められます。
ということは、もしかして変数をいくつか使えば一般解が得られるかも??と想像がついたら勝負ありです。


(解答続き)
(2)
5x+13y=aとおく。
7a+65z=3の整数解の一つは(a,z)=(19,-2)だったから、いつもの不定方程式と同じように引き算してあげれば
7(a-19)+65(z+2)=0が得られ、mを整数として(a,z)=(65m+19,-7m-2)が得られる

次に、a=5x+13y=65m+19を解く。


(考察3)
また3変数(x,y,m)不定方程式が出てきてしまいましたが、13で括れますね。
ここから(1)とのつながりが見え始めます。


(解答続き)
\begin{eqnarray}
5x+13y&=&65m+19\\
5x+13(y-5m)&=&19\\
\end{eqnarray}
(1)から整数解の1つとして(x,y-5m)=(-4,3)などが得られるので、上と同様に
5(x+4)+13(y-5m-3)=0が得られ、nを整数として(x,y)=(13n-4,-5n+5m+3)が得られる。

故にこの方程式の一般解は
(x,y,z)=(13n-4,-5n+5m+3,-7m-2)


(考察4)
さぁ、一般解が得られました。
ですが、ここでx^2+y^2に代入!としてしまっては面倒なことに...(出来ないことはないかも)
x^2+y^2を小さくするためにはどうすればよいでしょう。
そもそもx^2を小さくするためには...?
お判りでしょうか、絶対値を小さくしてあげればよいですね。
|x|,|y|を小さくするように(m,n)を定めてあげれば、完成です。
今回は(結果論ですが)|x|,|y|を同時に小さくすることが可能になってくれているので
(i)|x|の最小化
(ii)|y|の最小化
を分けて考えた方が解答を仕上げやすいと思います。


(解答続き)
x^2+y^2を最小化するには|x|,|y|を最小化することを考えればよい。
(i)|x|を最小化する
 この場合、n=0として、x=-4とするとよい。
 このとき、y=5m+3でこちらはm=-1としてy=-2とするとよい。

(ii)|y|を最小化する
 y=5(m-n)+3だから、m-n=-1として、y=-2とするとよい。
 このとき、n=m+1を代入してx=13(m+1)-4だから、m+1=0すなわちm=-1とし、x=-4とするとよい。
 このとき、n=0

以上(i)(ii)より、(m,n)=(-1,0)とすれば|x|,|y|がともに最小となるため、x^2+y^2も最小値をとる。
このとき、(x,y)=(-4,-2)で、最小値は(-4)^2+(-2)^2=20




最後が見事ですねぇ~、2変数の絶対値を同時に最小化できたので、東工大の優しさを少し感じられました...
この問題は括り方次第で様々な解法が考えられますし、もっと別な解き方もたくさん存在すると思います。
まぁ、定石通りに解くとこんな感じかな??

2018年京都大学理系数学大問2

お久しぶりです。生きてます。
入試シーズンですね、入試数学大好きな僕にとっては新作問題が入手できてうれしい時期です。
何問か解いたので、まとめていきます。

2018年京都大学理系数学大問2
n^3-7n+9素数となるような整数nをすべて求めよ。

難易度としては、旧帝大以下で出題されてもおかしく無い難易度だと思います。流石に京大レベルではない...どうした京大。

(考察1)
求めるn自然数ではなく、整数であることに注意しましょう。負の数でも答えになりうるわけですね。
整数問題に慣れている方は、飛ばしても大丈夫ですが、とりあえず初手としては実験を行うのがよいと思います。

(実験)
f(n)=n^3-7n+9とする。
f(0)=9
f(1)=1-7+9=3
f(2)=8-14+9=3
f(3)=27-21+9=15

(考察2)
上の実験から、
「もしかしてこれは3の倍数にしかならないのでは???」
と思えた方は、整数問題の力がある程度ついていると思います。または勘の良い方。
もしも、3の倍数にしかならないとしたら、素数としてあり得る値は3しかないですよね。
そして、倍数の判定には合同式が有効でした。
それを踏まえて以下のように解答を仕上げてみます。

(解答1)
f(n)=n^3-7n+9とし、以下、法を3とする。
n\equiv0のとき
 f(n)\equiv0^3-0+9\equiv0
n\equiv1のとき
 f(n)\equiv1^3-7+9=3\equiv0
n\equiv-1のとき
 f(n)\equiv(-1)^3+7+9=15\equiv0

よって任意の整数nに対してf(n)は3の倍数。

3の倍数のうち素数であるのは3のみ。
f(n)=3を解くと、
\begin{eqnarray}
n^3-7n+9&=&3\\
n^3-7n+6&=&0\\
(n-1)(n-2)(n+3)&=&0\\
n&=&1,2,-3
\end{eqnarray}


(解答2)
\begin{eqnarray}
n^3-7n+9&=&(n-1)n(n+1)-6n+9\\
&=&(n-1)n(n+1)-3(2n-3)
\end{eqnarray}
連続3整数は3の倍数だから、f(n)は3の倍数になる
以下、(解答1)と同じ



解答2は、連続3整数が3の倍数であることから、n^3を強引に作るようにしてあげればうまくいくわけですね。
とはいえ、思いつかなくても合同式を使えば、簡単に確認できますからおすすめですよ!

引っ越しました

アパートに引っ越しました。両親と来て家具とか家電とか設置したりして、新生活!って感じの部屋になりました。明日、両親は帰りますが、18年間親元で暮らしていたので、とても不安です。仕送りがあるとはいえプチ自立ですよね、自立できるかなぁ
大学生活は楽しく過ごすことをモットーに頑張ろうと思っています。勉強だけじゃなくいろんな趣味も極めたいなと考えています。
これからのブログは、
・数学botの解答
・自作問題
・日記
と、いつもと変わらない内容で書いていきたいと思っています。
どちゃ楽bot、不等式botの問題も少し解いてあるので、ブログ掲載の許可を取り次第載せたいです。

友人作問題があるのですが、下書きのまま放置しています。TeX表記が面倒すぎて...wお楽しみに。今度、問題だけでもあげようかと思います。

今日から大学生です、頑張ります。