2018年東北大学理系数学大問3

整数です。好き。

2018年東北大学理系数学大問3
整数a,bは等式
    3^a-2^b=1        …①
を満たしているとする。
(1)a,bはともに正となることを示せ。
(2)b>1ならば、aは偶数であることを示せ。
(3)①を満たす整数の組(a,b)をすべてあげよ。

誘導が丁寧ですね

(考察)
(1)直接示していくか、背理法で示していくか。個人的には背理法のほうがやりやすいかなと思いますが、これは人それぞれだと思います。
(2)合同式が思いつくと瞬殺できそう。aがの偶奇をテーマにしているので(-1)^aとかの形が出てきたら都合がよさそうですね。うまく法を考えてあげると4が見つかります。
(3)これまでの小問を活かします。(2)がかなり効きます。整数問題の定石「因数分解」が(2)のおかげで使えるようになります。


(解答)
(1)
背理法で示す
a\le 0のとき
    \begin{eqnarray}3^a&\le& 1\\
1+2^b&\le& 1(\because 3^a-2^b=1)\\
2^b&\le& 0\end{eqnarray}
2^b>0よりこれは矛盾。a>0である。
b\le 0のとき
    \begin{eqnarray}2^b&\le& 1\\
3^a-1 &\le& 1(\because 3^a-2^b=1)\\
3^a&\le&2<3^1\end{eqnarray}
aは整数であるからa\le 0だが、上で示したようにa>0だから矛盾。b>0である。
以上よりa,bはともに正となる。

(2)
以下、法を4とする。
bは整数だからb>1とはb\ge 2であるから2^b\ge 4となり、
    2^b\equiv 0
である。
3^a-2^b=1 \Rightarrow 3^a-2^b\equiv 1であるから、
    3^a\equiv 1
である。
また、3\equiv -1であるから、3^a\equiv(-1)^aとなり、a'自然数として
    3^a\equiv \begin{cases}
    1 & (a=2a') \\
    -1 & (a=2a'-1)
  \end{cases}
であるからb>1ならば、aは偶数である。

(3)
(i)b=1のとき
 3^a=3となるからa=1

(ii)b>1つまりb\ge 2のとき
 (2)よりa'自然数としてa=2a'と書ける。
 よって
    \begin{eqnarray}3^a-2^b&=&1\\
3^{2a'}-1&=&2^b\\
(3^{a'}+1)(3^{a'}-1)&=&2^b\end{eqnarray}
 3^{a'}+13^{a'}-1も2以上の整数だから、どちらも素因数は2しか持たない。
 よってk自然数として
    3^{a'}-1=2^k
 とおくと
    \begin{eqnarray}3^{a'}+1&=&2^k+2\\
&=&2(2^{k-1}+1)\end{eqnarray}
 k-1\ge 1のとき、2^{k-1}+1は奇数となってしまい、3^{a'}+1が素因数を2しか持たないことに反する。
 よって、k-1=0すなわちk=1であり、このときa'=1となる。
 これを計算していくと(a,b)=(2,3)が得られる。

(i)(ii)より
    (a,b)=(1,1),(2,3)


なんだかんだ定石通りの問題です。しっかり理解しましょう

2018年東北大学理系数学大問2

得意(笑)程度の実力の確率です。

2018年東北大学理系数学大問2
n2以上、a1以上の整数とする。箱の中に、1からnまでの番号札がそれぞれ1枚ずつ、合計n枚入っている。この箱から、1枚の札を無作為に取り出して元に戻す、という志向をa回繰り返す。ちょうどa回目の試行でそれまでに取り出した札に書かれた数の和がはじめてn以上となる確率をp(a)とする。
(1)p(1)p(n)を求めよ。
(2)p(2)を求めよ。
(3)n3以上の整数のときp(3)を求めよ。

文系数学にも類題が出題されています。
(2)で間違えないようにすることがポイントです。そうしたら、あとは(3)まで一気に得点が獲得できます。こちらも大問1に続いて落としたくない易問。


(考察)
(1)続く小問のヒントになる問題。落とせません。
(2)ポイントは数の和がn以上になる確率であり、nになる確率ではないということです。落とすと雪崩を起こします。
(3)(2)の考え方をそのまま応用してあげればOK。2回目までの和さえ決めてしまえば3枚目に何を引けばよいかが決まるので、2回目までの和で場合分けしてしまえばよいです。


(解答)
(1)
p(1)とは、1回目に取り出したカードがn以上になる確率。つまり、1回目にnが書かれたカードを取り出す確率である。
よって、求める確率は\begin{eqnarray}\frac{1}{n}\end{eqnarray}

またp(n)とは、n回目までに取り出したカードの和がn以上になる確率。つまり、n回の試行すべてにおいて1を取り出す確率である。
よって、求める確率は\begin{eqnarray}(\frac{1}{n})^n\end{eqnarray}

(2)
p(2)とは、2回目までに取り出したカードの和がn以上になる確率。
1回目にkを取り出した場合、2回目はn,n-1,n-2,\cdots,n-k(k+1)種類のカードのいずれかを取り出せばよい。(1\le k \le n-1)
つまり、1回目にkを取り出したときに、2回目までに取り出したカードの和がn以上になる確率は、\begin{eqnarray}\frac{1}{n}\cdot\frac{k+1}{n}=\frac{k+1}{n^2}\end{eqnarray}
p(2)は、1回目に1を取り出す場合と、2を取り出す場合と、\cdotsn-1を取り出す場合とがあるから
    \begin{eqnarray}\displaystyle p(2)&=&\frac{1+1}{n^2}+\frac{2+1}{n^2}+\cdots\frac{(n-1)+1}{n^2}\\
&=&\sum_{k=1}^{n-1}\frac{k+1}{n^2}\\
&=&\frac{1}{n^2}\{\frac{1}{2}(n-1)n+(n-1)\}\\
&=&\frac{(n-1)(n+2)}{2n^2}\end{eqnarray}

(3)
p(3)とは、3回目までに取り出したカードの和がn以上になる確率。
2回目までに取り出したカードの和がkである確率をq(k)とおくと、
2回目までに取り出したカードの和がkであるときに、3回目取り出したカードまでの和がn以上になるためには(2)と同様にn,n-1,n-2,\cdots,n-k(k+1)種類のカードのいずれかを取り出せばよい。(2\le k \le n-1)
よって、2回目までに取り出したカードの和がkであるとき、3回目までに取り出したカードの和がn以上になる確率は\begin{eqnarray}q(k)\cdot \frac{k+1}{n}\end{eqnarray}

ここでq(k)を求める。
カードの取り出し方は(1回目,2回目)=(1,k-1),(2,k-2),\cdots (k-1,1)k-1通りだから
    \begin{eqnarray}q(k)=\frac{k-1}{n^2}\end{eqnarray}
よって
    \begin{eqnarray}\displaystyle p(3)&=&\sum_{k=2}^{n-1}q(k)\frac{k+1}{n}\\
&=&\sum_{k=2}^{n-1}\frac{k-1}{n^2}\cdot\frac{k+1}{n}\\
&=&\frac{1}{n^3}\sum_{k=2}^{n-1}(k-1)(k+1)\\
&=&\frac{1}{n^3}\{\sum_{k=1}^{n-1}(k-1)(k+1)-(1-1)(1+1)\}\\
&=&\frac{1}{n^3}\sum_{k=1}^{n-1}(k-1)(k+1)\\
&=&\frac{1}{n^3}\sum_{k=1}^{n-1}(k^2-1)\\
&=&\frac{1}{n^3}\{\frac{1}{6}(n-1)n(2n-1)-(n-1)\}\\
&=&\frac{(n-1)(2n^2-n+6)}{6n^3}\\
&=&\frac{(n-2)(n-1)(2n+3)}{6n^3}
\end{eqnarray}



(3)の最後のシグマ変形では、
    (k=2からk=n-1までの和)=(k=1からk=n-1までの和)-(k=1の部分)
という考え方で変形しました。
他にもこんな変形でもよいです
(別解)
    \begin{eqnarray}\displaystyle p(3)&=&\frac{1}{n^3}\sum_{k=2}^{n-1}(k-1)(k+1)\end{eqnarray}
ここで、l=k-1とおくと、l1からn-2までを動き、(k-1)(k+1)=l(l+2)となるから
    \begin{eqnarray}\displaystyle p(3)&=&\frac{1}{n^3}\sum_{k=2}^{n-1}(k-1)(k+1)\\
&=&\frac{1}{n^3}\sum_{l=1}^{n-2}l(l+2)\\
&=&\frac{1}{n^3}\sum_{l=1}^{n-2}(l^2+2l)\\
&=&\frac{1}{n^3}\{\frac{1}{6}(n-2)(n-1)(2n-3)+(n-2)(n-1)\}\\
&=&\frac{(n-2)(n-1)}{6n^3}(2n-3+6)\\
&=&\frac{(n-2)(n-1)(2n+3)}{6n^3}
\end{eqnarray}

この変形も覚えておくとよいですね。今回のパターンでは因数分解の必要がほとんどなくなりました。

今年は東北大にしては難化したので、大問1と合わせて完答しておきたい問題でした。

2018年東北大学理系数学大問1

南下しまして東北大です。

2018年東北大学理系数学大問1
xy平面における2つの放物線C:y=(x-a)^2+b,D:y=-x^2を考える。
(1)CDが異なる2点で交わり、その2交点のx座標の差が1となるように実数a,bが動くとき、Cの頂点(a,b)の軌跡を図示せよ。
(2)実数a,bが(1)の条件を満たしながら動くとき、CDの2交点を結ぶ直線が通過する範囲を求め、図示せよ。

こちらは易問。(2)までちゃんと得点しましょう。

(考察)
(1)まずは判別式を使って実数解を持つ条件を出します。それから、実際に解を求めて、差をとって考えてあげてもよいし、かっこよく「解と係数の関係」と「基本対称式」を使ってあげるのもおしゃれですね。今回はおしゃれに後者で。
(2)よくある問題ですね。こういう問題はa,bいずれかの文字だけにまとめてあげて、その文字が実数になるように、いろいろ工夫してあげるという定石通りの解法です。


(解答)
(1)
2交点のx座標を\alpha , \betaとおく(\alpha < \beta)
このとき、\alpha , \betaCDを連立した方程式
    (x-a)^2+b=-x^2
の解になる。
これを整理すると
    2x^2-2ax+a^2+b=0
である。
これが異なる2つの実数解を持つためには判別式\frac{D_1}{4}=a^2-2a^2-2b=-a^2-2b>0が条件。つまり
    \begin{eqnarray}b<-\frac{1}{2}a^2\end{eqnarray}
また、解と係数の関係から
    \begin{eqnarray}\alpha+\beta&=&a\\
\alpha\beta&=&\frac{a^2+b}{2}\end{eqnarray}
いま、x座標の差が1だから、\beta-\alpha=1であるから、
    \begin{eqnarray}(\beta-\alpha)^2&=&1\\
\alpha^2-2\alpha\beta+\beta^2&=&1\\
(\alpha+\beta)^2-4\alpha\beta=1\\
a^2-4\cdot\frac{a^2+b}{2}&=&1\\
a^2-2a^2-2b&=&1\\
b&=&-\frac{1}{2}a^2-\frac{1}{2}\end{eqnarray}
これは上で求めた条件を満たすので、求める軌跡は次の図。
f:id:tamazarasi:20180308141702j:plain:w300

(2)
(1)より2交点のx座標を求める方程式は
    \begin{eqnarray}2x^2-2ax+a^2-\frac{1}{2}a^2-\frac{1}{2}&=&0\\
4x^2-4ax+a^2-1&=&0\\
\{2x-(a+1)\}\{2x-(a-1)\}&=&0\\
x&=&\frac{a+1}{2},\frac{a-1}{2}\end{eqnarray}
よって、2交点は\begin{eqnarray}(\frac{a+1}{2},-\frac{a^2+2a+1}{4}),(\frac{a-1}{2},-\frac{a^2-2a+1}{4})\end{eqnarray}
この2点を通る直線の方程式は
    \begin{eqnarray}y+\frac{a^2+2a+1}{4}&=&\frac{-\frac{a^2+2a+1}{4}+\frac{a^2-2a+1}{4}}{\frac{a+1}{2}-\frac{a-1}{2}}(x-\frac{a+1}{2})\\
y&=&-a(x-\frac{a+1}{2})-\frac{a^2+2a+1}{4}\\
4y&=&-2a(2x-a-1)-a^2-2a-1\\
4y&=&-4ax+a^2-1\end{eqnarray}
今、aが実数全体をうごくので、aについての2次方程式a^2-4xa-4y-1=0の判別式D_2D_2 \ge 0となる。
    \begin{eqnarray}\frac{D_2}{4}=4x^2+4y+1&\ge &0\\
y &\ge &-x^2-\frac{1}{4}\end{eqnarray}
よって、直線が通過する範囲は以下の図(境界を含む)。
f:id:tamazarasi:20180308141853j:plain:w300



(2)で使った考え方はよく使うので覚えておくとよいでしょう。aが実数になるようにうまく条件式を見つけてあげればOKです。
後期試験の問題も早く解きたいですね~

2018年北海道大学理系数学大問5

ついに最終問題です

2018年北海道大学理系数学大問5
2つの関数
    \begin{eqnarray} f(x)=\cos x,g(x)=\sqrt{\frac{\pi^2}{2}-x^2}-\frac{\pi}{2}\end{eqnarray}
がある。
(1)\begin{eqnarray}0 \le x \le \frac{\pi}{2}\end{eqnarray}のとき、不等式\begin{eqnarray}\frac{2}{\pi}x \le \sin x\end{eqnarray}が成り立つことを示せ。
(2)\begin{eqnarray}0 \le x \le \frac{\pi}{2}\end{eqnarray}のとき、不等式g(x)\le f(x)が成り立つことを示せ。
(3)\begin{eqnarray}0 \le x \le \frac{\pi}{2}\end{eqnarray}の範囲において、2つの曲線y=f(x),y=g(x)およびy軸が囲む部分の面積を求めよ。

北大らしい計算をするだけといった感じの問題ですね。(1)の主張が面白い。

(考察)
(1)とりあえず定石通り、片方に集めて微分してグラフの概形が分かれば解けますね。
(2)ルートが面倒なので2乗しちゃいましょう。非負なのかの確認を一言添えることを忘れずに。
(3)メインイベント。丁寧に計算しましょう。計算のパターンとしては十分有名なものなので見た途端に解法を思いつくべき問題です。最悪(3)だけでも答案は仕上げちゃいたい。


(解答)
(1)
\begin{eqnarray}h(x)=\sin x-\frac{2}{\pi}x\end{eqnarray}とおく。このときh(x) \ge 0を示せばよい。
\begin{eqnarray}h’(x)=\cos x-\frac{2}{\pi}\end{eqnarray}であり、\begin{eqnarray}0<\frac{2}{\pi}<1\end{eqnarray}より、\begin{eqnarray}\cos\alpha=\frac{2}{\pi}\end{eqnarray}を満たす\alpha\begin{eqnarray}0<\alpha<\frac{\pi}{2}\end{eqnarray}の範囲でただ1つ存在する。
よってh(x)の増減表は

x 0 \alpha \frac{\pi}{2}
h' + 0 -
h 0 h(\alpha) 0

よって、\begin{eqnarray}0 \le x \le \frac{\pi}{2}\end{eqnarray}のときh(x)\ge 0

(2)
f(x)-g(x) \ge 0を示せばよい。
    \begin{eqnarray} f(x)-g(x) & \ge& 0\\
\cos x -\sqrt{\frac{\pi^2}{2}-x^2}+\frac{\pi}{2}&\ge& 0\\
\cos x+\frac{\pi}{2} & \ge & \sqrt{\frac{\pi^2}{2}-x^2}\\
\end{eqnarray}
\begin{eqnarray}0 \le x \le \frac{\pi}{2}\end{eqnarray}のとき\begin{eqnarray}\cos x+\frac{\pi}{2} \ge \frac{\pi}{2}\end{eqnarray}は明らか。また\begin{eqnarray}\sqrt{\frac{\pi^2}{2}-x^2}\end{eqnarray}\begin{eqnarray}x = \frac{\pi}{2}\end{eqnarray}のときに最小値\begin{eqnarray}\frac{\pi}{2}\end{eqnarray}をとるので、両辺正だから、両辺を2乗しても同値。
よって\begin{eqnarray}(\cos x+\frac{\pi}{2})^2 & \ge & \frac{\pi^2}{2}-x^2 \end{eqnarray}を示せば十分。
つまり、\begin{eqnarray} x^2+\cos^2x+\pi\cos x-\frac{\pi^2}{4} \ge 0\end{eqnarray}を示せばよい。\begin{eqnarray} i(x)=x^2+\cos^2x+\pi\cos x-\frac{\pi^2}{4}\end{eqnarray}とおくと、(1)から
    \begin{eqnarray} i'(x)&=&2x-\sin{2x}-\pi\sin x\\
& \le & 2x-\sin{2x}-\pi\cdot \frac{2}{\pi}x\\
& = & 2x-\sin{2x}-2x\\
& = &-\sin{2x} \le 0\end{eqnarray}
よって、i(x)は単調減少なので、\begin{eqnarray}i(\frac{\pi}{2}) \ge 0\end{eqnarray}が言えればよいが、\begin{eqnarray}i(\frac{\pi}{2})=0\end{eqnarray}より、i(x) \ge 0

(3)
(2)より、\begin{eqnarray}0 \le x \le \frac{\pi}{2}\end{eqnarray}の範囲において、f(x)-g(x) \ge 0だから、
    \begin{eqnarray}\displaystyle \int_0^{\frac{\pi}{2}}(\cos x -\sqrt{\frac{\pi^2}{2}-x^2}+\frac{\pi}{2})dx \end{eqnarray}
を求めればよい。
    \begin{eqnarray}\displaystyle \int_0^{\frac{\pi}{2}}(\cos x -\sqrt{\frac{\pi^2}{2}-x^2}+\frac{\pi}{2})dx &=& 
\int_0^{\frac{\pi}{2}}(\cos x +\frac{\pi}{2})dx-\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{\frac{\pi^2}{2}-x^2}dx\\
&=&[ \sin x+\frac{\pi}{2}x ] ^{\frac{\pi}{2}}_0 - \int_0^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{\frac{\pi^2}{2}-x^2}dx\\
&=&1+\frac{\pi^2}{4} - \int_0^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{\frac{\pi^2}{2}-x^2}dx
\end{eqnarray}

\begin{eqnarray}\displaystyle \int_0^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{\frac{\pi^2}{2}-x^2}dx \end{eqnarray}について、\begin{eqnarray}x=\frac{\pi}{\sqrt{2}}\sin\theta\end{eqnarray}とおくと
    \begin{eqnarray}\frac{dx}{d\theta}=\frac{\pi}{\sqrt{2}}\cos\theta\end{eqnarray}

x 0\to \frac{\pi}{2}
\theta 0 \to \frac{\pi}{4}

より、
    \begin{eqnarray}\displaystyle \int_0^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{\frac{\pi^2}{2}-x^2}dx &=& \int_0^{\frac{\pi}{4}}\sqrt{\frac{\pi^2}{2}-\frac{\pi^2}{2}\sin^2\theta}\frac{\pi}{\sqrt{2}}\cos\theta d\theta\\
&=&\frac{\pi^2}{2} \int_0^{\frac{\pi}{4}}\sqrt{1-\sin^2\theta}\cos\theta d\theta\\
&=&\frac{\pi^2}{2} \int_0^{\frac{\pi}{4}}\cos^2\theta d\theta\\
&=&\frac{\pi^2}{2} \int_0^{\frac{\pi}{4}}\frac{\cos 2\theta+1}{2} d\theta\\
&=&\frac{\pi^2}{4} [\frac{\sin 2\theta}{2}+\theta]_0^{\frac{\pi}{4}}\\
&=&\frac{\pi^2}{4}(\frac{1}{2}+\frac{\pi}{4})\\
&=&\frac{\pi^2}{8}+\frac{\pi^3}{16}
\end{eqnarray}

よって
    \begin{eqnarray}\displaystyle \int_0^{\frac{\pi}{2}}(f(x)-g(x))dx &=& 1+\frac{\pi^2}{4} - (\frac{\pi^2}{8}+\frac{\pi^3}{16})\\
&=& 1+\frac{\pi^2}{8} - \frac{\pi^3}{16}\end{eqnarray}




基本的な積分計算でしたね。北大の積分にしては難易度が低めかなと思います。落とせない。
というわけで2018年の北大はこれにて終了!ほかの大学もまとめていきますよ~

2018年北海道大学理系数学大問4

学習指導要領の変更によりカテゴリの「数Ⅰ」「数Ⅱ」とかが意味を成さなくなってしまうことに気づいてしまいました

2018年北海道大学理系数学大問4
座標平面上に3点\begin{eqnarray}\mathrm{O}(0,0),\mathrm{A}(\frac{15}{2},0),\mathrm{B}(11,11)\end{eqnarray}がある。条件
    \mathrm{BQ} \ge \mathrm{OQ} \ge 2\mathrm{AQ}
を満たす点\mathrm{Q}(x,y)の全体をDとする。
(1)Dを座標平面上に図示せよ。また\mathrm{BQ}=\mathrm{OQ}=2\mathrm{AQ}となるすべての点\mathrm{Q}の座標を求めよ。
(2) 0 < p \le 11とし、\mathrm{P}を点(p,11)とする。条件\mathrm{OQ} \ge \mathrm{PQ}を満たすDの点\mathrm{Q}が存在するようなpの値の範囲を求めよ。


(考察)
(1)\mathrm{Q}の座標が与えられているのがなんとも優しい。素直に計算してあげればOK
(2)難しい。とりあえず条件を求めるところまでできれば十分な部分点がもらえそうです。本番は捨ててもよいかもしれませんね。図示とかしてるし線形計画法的な感じかな~と思いつくかどうか。


(解答)
(1)
\mathrm{BQ} \ge \mathrm{OQ} \ge 2\mathrm{AQ}で、すべて正だから
    \mathrm{BQ}^2 \ge \mathrm{OQ}^2 \ge 4\mathrm{AQ}^2
距離の公式をそのまま当てはめると
    \begin{eqnarray}(x-11)^2+(y-11)^2 \ge x^2+y^2 \ge 4\{(x-\frac{15}{2})^2+y^2\}\end{eqnarray}
これを整理すると
    y\le -x+11,(x-10)^2+y^2 \le 25
これらを図示すると
    

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濃い色の部分が求める範囲

等号成立は2つのグラフの交点。円を式に直線の式を代入すると
    \begin{eqnarray}(x-10)^2+(-x+11)^2&=&25\\
2x^2-42x+196&=&0\\
x-21x+98&=&0\\
(x-7)(x-14)&=&0\\
x&=&7,14
\end{eqnarray}
これを直線の式に代入すると(7,4),(14,-3)が得られる。


(2)
\mathrm{OQ} \ge \mathrm{PQ}で、両辺正より\mathrm{OQ}^2 \ge \mathrm{PQ}^2
距離の公式をあてはめて
    \begin{eqnarray}x^2+y^2 &\ge& (x-p)^2+(y-11)^2\\
22y &\ge& -2px+p^2+121\\
y&\ge& -\frac{p}{11}x+\frac{p^2+121}{22}\end{eqnarray}


(考察2)
ここで直線の式が出てきましたが、線形計画法などでも注意が必要なのが、直線の傾きです。
今基準となる傾きはDで使われている直線の傾きである「-1」です。

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例1:傾き-10/11
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例2:傾き-3(実際の直線とは異なります)
今回はp0  < p\le 11という範囲のもとで動くので傾き\begin{eqnarray}-\frac{p}{11}\end{eqnarray}\begin{eqnarray}-1 \le -\frac{p}{11} <0\end{eqnarray}という範囲で動きます。平たく言えば、Dの直線部分よりも寝ている直線しか出来ないわけですね。
そのため、鉛筆などを寝かせて動かしてあげると少しわかりやすくなるのですが、今求めた条件を満たす点が存在する条件は(1)で求めた点のうち(7,4)のほうが求めた条件に含まれるということが分かります。
これはあくまで条件の直線部分の傾きが寝ているからの話であり、上の例2はそれが成り立っていないことが分かると思います。(その場合は(14,-3)が含まれるというのが条件になります)


(解答続き)
問題のpの範囲から\begin{eqnarray}-1 \le -\frac{p}{11} <0\end{eqnarray}がわかる。
よって
    D内の点で条件を満たす点が存在する\Leftrightarrow(7,4)\begin{eqnarray}y&\ge& -\frac{p}{11}x+\frac{p^2+121}{22}\end{eqnarray}に含まれる
となる。
つまり
    \begin{eqnarray}4&\ge&-\frac{p}{11}\cdot 7+\frac{p^2+121}{22}\\
88&\ge&-14p+p^2+121\\
p^2-14p+33&\le& 0\\
(p-11)(p-3)&\le& 0\\
\end{eqnarray}
つまり、求める範囲は3\le p\le 11



(2)は試験場での緊張感などを考慮すると思いつくのは難しいかもしれません。なので、あまり合否を分ける問題にはならなかったかもしれませんね。
ですが、この考え方は線形計画法でよく用いますので絶対に覚えておいて損はないです。

北大の理系数学もあと一問ですね。北大が終わったら東北大、一橋大、東工大、その他医大とかもまとめたいものですが。果たして。