2018年東北大学理系数学大問3
整数です。好き。
2018年東北大学理系数学大問3 整数は等式 …① を満たしているとする。 (1)はともに正となることを示せ。 (2)ならば、は偶数であることを示せ。 (3)①を満たす整数の組をすべてあげよ。
誘導が丁寧ですね
(考察)
(1)直接示していくか、背理法で示していくか。個人的には背理法のほうがやりやすいかなと思いますが、これは人それぞれだと思います。
(2)合同式が思いつくと瞬殺できそう。がの偶奇をテーマにしているのでとかの形が出てきたら都合がよさそうですね。うまく法を考えてあげるとが見つかります。
(3)これまでの小問を活かします。(2)がかなり効きます。整数問題の定石「因数分解」が(2)のおかげで使えるようになります。
(解答)
(1)
背理法で示す
のとき
よりこれは矛盾。である。
のとき
は整数であるからだが、上で示したようにだから矛盾。である。
以上よりはともに正となる。
(2)
以下、法をとする。
は整数だからとはであるからとなり、
である。
であるから、
である。
また、であるから、となり、を自然数として
であるからならば、は偶数である。
(3)
(i)のとき
となるから
(ii)つまりのとき
(2)よりを自然数としてと書ける。
よって
もも2以上の整数だから、どちらも素因数はしか持たない。
よってを自然数として
とおくと
のとき、は奇数となってしまい、が素因数をしか持たないことに反する。
よって、すなわちであり、このときとなる。
これを計算していくとが得られる。
(i)(ii)より
なんだかんだ定石通りの問題です。しっかり理解しましょう
2018年東北大学理系数学大問2
得意(笑)程度の実力の確率です。
2018年東北大学理系数学大問2 を以上、を以上の整数とする。箱の中に、からまでの番号札がそれぞれ1枚ずつ、合計枚入っている。この箱から、枚の札を無作為に取り出して元に戻す、という志向を回繰り返す。ちょうど回目の試行でそれまでに取り出した札に書かれた数の和がはじめて以上となる確率をとする。 (1)とを求めよ。 (2)を求めよ。 (3)が以上の整数のときを求めよ。
文系数学にも類題が出題されています。
(2)で間違えないようにすることがポイントです。そうしたら、あとは(3)まで一気に得点が獲得できます。こちらも大問1に続いて落としたくない易問。
(考察)
(1)続く小問のヒントになる問題。落とせません。
(2)ポイントは数の和が以上になる確率であり、になる確率ではないということです。落とすと雪崩を起こします。
(3)(2)の考え方をそのまま応用してあげればOK。2回目までの和さえ決めてしまえば3枚目に何を引けばよいかが決まるので、2回目までの和で場合分けしてしまえばよいです。
(解答)
(1)
とは、1回目に取り出したカードが以上になる確率。つまり、1回目にが書かれたカードを取り出す確率である。
よって、求める確率は
またとは、回目までに取り出したカードの和が以上になる確率。つまり、回の試行すべてにおいてを取り出す確率である。
よって、求める確率は
(2)
とは、2回目までに取り出したカードの和が以上になる確率。
1回目にを取り出した場合、2回目はの種類のカードのいずれかを取り出せばよい。
つまり、1回目にを取り出したときに、2回目までに取り出したカードの和が以上になる確率は、
は、1回目にを取り出す場合と、を取り出す場合と、、を取り出す場合とがあるから
(3)
とは、3回目までに取り出したカードの和が以上になる確率。
2回目までに取り出したカードの和がである確率をとおくと、
2回目までに取り出したカードの和がであるときに、3回目取り出したカードまでの和が以上になるためには(2)と同様にの種類のカードのいずれかを取り出せばよい。
よって、2回目までに取り出したカードの和がであるとき、3回目までに取り出したカードの和が以上になる確率は
ここでを求める。
カードの取り出し方は回目回目の通りだから
よって
(3)の最後のシグマ変形では、
からまでの和からまでの和の部分
という考え方で変形しました。
他にもこんな変形でもよいです
(別解)
ここで、とおくと、はからまでを動き、となるから
この変形も覚えておくとよいですね。今回のパターンでは因数分解の必要がほとんどなくなりました。
今年は東北大にしては難化したので、大問1と合わせて完答しておきたい問題でした。
2018年東北大学理系数学大問1
南下しまして東北大です。
2018年東北大学理系数学大問1 平面における2つの放物線を考える。 (1)とが異なる2点で交わり、その2交点の座標の差がとなるように実数が動くとき、の頂点の軌跡を図示せよ。 (2)実数が(1)の条件を満たしながら動くとき、との2交点を結ぶ直線が通過する範囲を求め、図示せよ。
こちらは易問。(2)までちゃんと得点しましょう。
(考察)
(1)まずは判別式を使って実数解を持つ条件を出します。それから、実際に解を求めて、差をとって考えてあげてもよいし、かっこよく「解と係数の関係」と「基本対称式」を使ってあげるのもおしゃれですね。今回はおしゃれに後者で。
(2)よくある問題ですね。こういう問題はいずれかの文字だけにまとめてあげて、その文字が実数になるように、いろいろ工夫してあげるという定石通りの解法です。
(解答)
(1)
2交点の座標をとおく。
このとき、はとを連立した方程式
の解になる。
これを整理すると
である。
これが異なる2つの実数解を持つためには判別式が条件。つまり
また、解と係数の関係から
いま、座標の差がだから、であるから、
これは上で求めた条件を満たすので、求める軌跡は次の図。
(2)
(1)より2交点の座標を求める方程式は
よって、2交点は
この2点を通る直線の方程式は
今、が実数全体をうごくので、についての2次方程式の判別式はとなる。
よって、直線が通過する範囲は以下の図(境界を含む)。
(2)で使った考え方はよく使うので覚えておくとよいでしょう。が実数になるようにうまく条件式を見つけてあげればOKです。
後期試験の問題も早く解きたいですね~
2018年北海道大学理系数学大問5
ついに最終問題です
2018年北海道大学理系数学大問5 2つの関数 がある。 (1)のとき、不等式が成り立つことを示せ。 (2)のとき、不等式が成り立つことを示せ。 (3)の範囲において、2つの曲線および軸が囲む部分の面積を求めよ。
北大らしい計算をするだけといった感じの問題ですね。(1)の主張が面白い。
(考察)
(1)とりあえず定石通り、片方に集めて微分してグラフの概形が分かれば解けますね。
(2)ルートが面倒なので2乗しちゃいましょう。非負なのかの確認を一言添えることを忘れずに。
(3)メインイベント。丁寧に計算しましょう。計算のパターンとしては十分有名なものなので見た途端に解法を思いつくべき問題です。最悪(3)だけでも答案は仕上げちゃいたい。
(解答)
(1)
とおく。このときを示せばよい。
であり、より、を満たすがの範囲でただ1つ存在する。
よっての増減表は
… | … | ||||
↑ | ↓ |
よって、のとき
(2)
を示せばよい。
のときは明らか。またはのときに最小値をとるので、両辺正だから、両辺を2乗しても同値。
よってを示せば十分。
つまり、を示せばよい。とおくと、(1)から
よって、は単調減少なので、が言えればよいが、より、
(3)
(2)より、の範囲において、だから、
を求めればよい。
について、とおくと
より、
よって
基本的な積分計算でしたね。北大の積分にしては難易度が低めかなと思います。落とせない。
というわけで2018年の北大はこれにて終了!ほかの大学もまとめていきますよ~
2018年北海道大学理系数学大問4
学習指導要領の変更によりカテゴリの「数Ⅰ」「数Ⅱ」とかが意味を成さなくなってしまうことに気づいてしまいました
2018年北海道大学理系数学大問4 座標平面上に3点がある。条件 を満たす点の全体をとする。 (1)を座標平面上に図示せよ。またとなるすべての点の座標を求めよ。 (2)とし、を点とする。条件を満たすの点が存在するようなの値の範囲を求めよ。
(考察)
(1)の座標が与えられているのがなんとも優しい。素直に計算してあげればOK
(2)難しい。とりあえず条件を求めるところまでできれば十分な部分点がもらえそうです。本番は捨ててもよいかもしれませんね。図示とかしてるし線形計画法的な感じかな~と思いつくかどうか。
(解答)
(1)
で、すべて正だから
距離の公式をそのまま当てはめると
これを整理すると
これらを図示すると
等号成立は2つのグラフの交点。円を式に直線の式を代入すると
これを直線の式に代入するとが得られる。
(2)
で、両辺正より
距離の公式をあてはめて
(考察2)
ここで直線の式が出てきましたが、線形計画法などでも注意が必要なのが、直線の傾きです。
今基準となる傾きはで使われている直線の傾きである「」です。今回はがという範囲のもとで動くので傾きはという範囲で動きます。平たく言えば、の直線部分よりも寝ている直線しか出来ないわけですね。
そのため、鉛筆などを寝かせて動かしてあげると少しわかりやすくなるのですが、今求めた条件を満たす点が存在する条件は(1)で求めた点のうちのほうが求めた条件に含まれるということが分かります。
これはあくまで条件の直線部分の傾きが寝ているからの話であり、上の例2はそれが成り立っていないことが分かると思います。(その場合はが含まれるというのが条件になります)
(解答続き)
問題のの範囲からがわかる。
よって
内の点で条件を満たす点が存在するがに含まれる
となる。
つまり
つまり、求める範囲は
(2)は試験場での緊張感などを考慮すると思いつくのは難しいかもしれません。なので、あまり合否を分ける問題にはならなかったかもしれませんね。
ですが、この考え方は線形計画法でよく用いますので絶対に覚えておいて損はないです。
北大の理系数学もあと一問ですね。北大が終わったら東北大、一橋大、東工大、その他医大とかもまとめたいものですが。果たして。