2018年東京工業大学数学大問2
またまた整数。どうしても整数から解いてしまう癖がありますね。
2018年東京工業大学数学大問2 次の問いに答えよ (1)を満たす整数の組を一組求めよ (2)を満たす整数の組の中での値が最小となるもの、およびその最小値を求めよ
個人的にかなり好きな問題です。
良問なので、考察を挟みながら回答を仕上げていきます。
(考察1)
整数解が求まりづらい不定方程式は、ユークリッドの互除法を用いることが多いですね。
しかし、いつもは2変数。今回は3変数なのでさてどうしよう。
そこでよ~く、方程式を眺めてみると...係数が...
については7で、については13で、については5で括れますね。
2変数をまとめて1変数にしてしまえば3変数の方程式が2変数の方程式になるわけです!やったね!
今回は7で括りたいと思います。なぜかというと、(2)で、についての話になるので、この2つをまとめておきたいと思ったからです。5で括っても13で括ってもうまくいきます。
(解答)
(1)
ここで、とおくと
(ユークリッドの互除法などを使って)この方程式の整数解の1つは
を解くと、例えばなどが得られる。
よって
(など)
(考察2)
さぁ、ここからです。
(1)を踏まえてどのように解答を作っていくのかを考えてみます。
まず、を求めることができ、そこからも求められます。
ということは、もしかして変数をいくつか使えば一般解が得られるかも??と想像がついたら勝負ありです。
(解答続き)
(2)
とおく。
の整数解の一つはだったから、いつもの不定方程式と同じように引き算してあげれば
が得られ、を整数としてが得られる
次に、を解く。
(考察3)
また3変数の不定方程式が出てきてしまいましたが、13で括れますね。
ここから(1)とのつながりが見え始めます。
(解答続き)
(1)から整数解の1つとしてなどが得られるので、上と同様に
が得られ、を整数としてが得られる。
故にこの方程式の一般解は
(考察4)
さぁ、一般解が得られました。
ですが、ここでに代入!としてしまっては面倒なことに...(出来ないことはないかも)
を小さくするためにはどうすればよいでしょう。
そもそもを小さくするためには...?
お判りでしょうか、絶対値を小さくしてあげればよいですね。
を小さくするようにを定めてあげれば、完成です。
今回は(結果論ですが)を同時に小さくすることが可能になってくれているので
(i)の最小化
(ii)の最小化
を分けて考えた方が解答を仕上げやすいと思います。
(解答続き)
を最小化するにはを最小化することを考えればよい。
(i)を最小化する
この場合、として、とするとよい。
このとき、でこちらはとしてとするとよい。
(ii)を最小化する
だから、として、とするとよい。
このとき、を代入してだから、すなわちとし、とするとよい。
このとき、
以上(i)(ii)より、とすればがともに最小となるため、も最小値をとる。
このとき、で、最小値は
最後が見事ですねぇ~、2変数の絶対値を同時に最小化できたので、東工大の優しさを少し感じられました...
この問題は括り方次第で様々な解法が考えられますし、もっと別な解き方もたくさん存在すると思います。
まぁ、定石通りに解くとこんな感じかな??