2018年北海道大学理系数学大問3

得意だったはずの「順列」や「確率」ですが、高校数学から離れて1年。結構時間を食われました。恐るべし、時間の経過。

2018年北海道大学理系数学大問3
数字の2が書かれたカードが2枚、同様に、数字の0,1,8が書かれたカードがそれぞれ2枚、あわせて8枚のカードがある。これらから4枚を取り出し、横一列に並べてできる自然数nとする。ただし、0のカードが左から1枚または2枚現れる場合は、nを3桁または2桁の自然数とそれぞれ考える。例えば、左から順に0,0,1,1の数字のカードが並ぶ場合のnは11である。
(1)a,b,c,dは整数とする。1000a+100b+10c+d9の倍数になることとa+b+c+d9の倍数になることは同値であることを示せ。
(2)n9の倍数である確率を求めよ。
(3)nが偶数であったとき、n9の倍数である確率を求めよ。

(考察)
問題文があまりよくないですね。4枚出したら普通順番までは確定しないでしょうから...
まぁ、ここは、4枚を順に取り出して左から並べるとでも考えておきましょう。
(1)は9で割ってあげれば解答の形が見えてきます。3の倍数についても同じ議論ができますね。
(2)(3)は基本問題といったところでしょうか。何パターンか書き出して考察をしていけば、完答できるでしょう。
基本的な問題なので、合否を分ける問題になったのではないかと思います。

(解答)
(1)
1000a+100b+10c+d=9(111a+11b+c)+(a+b+c+d)であることから、
1000a+100b+10c+d9の倍数であるとき
 整数nを用いて1000a+100b+10c+d=9nと書けるから、
 \begin{eqnarray}9(111a+11b+c)+(a+b+c+d)&=&9n\\
a+b+c+d&=&9(n-111a-11b-c)
\end{eqnarray}
 a,b,c,d,nは整数だからa+b+c+d9の倍数になる

逆に
a+b+c+d9の倍数であるとき
 整数n'を用いてa+b+c+d=9n'と書けるから、
 \begin{eqnarray}1000a+100b+10c+d&=&9(111a+11b+c)+9n'\\
&=&9(111a+11b+c+n')
\end{eqnarray}
 a,b,c,d,n'は整数だから1000a+100b+10c+d9の倍数になる

以上より、1000a+100b+10c+d9の倍数になることとa+b+c+d9の倍数になることは同値である


(2)
(確率の話なので)数字が同じでもすべてのカードを区別して考える
4枚のカードの和が9の倍数となるようなものを考えればよい
4枚のカードの和の最小値は0+0+1+1=2で、最大値は8+8+2+2=20であるから、4枚のカードの和が9の倍数となるとき、その値は9,18のいずれかである。
・4枚のカードの和が9のとき
 このような数字の組み合わせは(0,0,1,8)のみ
 このときのカードの選び方は
 (2枚ある0のうち2枚選ぶ)かつ(2枚ある1のうち1枚選ぶ)かつ(2枚ある8のうち1枚選ぶ)なので
 \begin{eqnarray}{}_2 \mathrm{C} _2 \cdot {}_2 \mathrm{C} _1 \cdot {}_2 \mathrm{C} _1 &=& 1 \cdot 2 \cdot 2\\
&=& 4
\end{eqnarray}
 この選んだ4枚を区別して並べるので4\cdot 4! =96通り

・4枚のカードの和が18のとき
 このような数字のの組み合わせは(0,2,8,8),(1,1,8,8)の2通り
 (0,2,8,8)となるカードの選び方は
 (2枚ある0のうち1枚選ぶ)かつ(2枚ある2のうち1枚選ぶ)かつ(2枚ある8のうち2枚選ぶ)なので
 \begin{eqnarray}{}_2 \mathrm{C} _1 \cdot {}_2 \mathrm{C} _1 \cdot {}_2 \mathrm{C} _2 &=& 2 \cdot 2 \cdot 1\\
&=& 4
\end{eqnarray}
 この選んだ4枚を区別して並べるので4\cdot 4! =96通り

 (1,1,8,8)となるカードの取り出し方は
 (2枚ある1のうち2枚取り出す)かつ(2枚ある8のうち2枚取り出す)なので
 \begin{eqnarray}{}_2 \mathrm{C} _2 \cdot {}_2 \mathrm{C} _2 &=& 1 \cdot 1\\
&=& 1
\end{eqnarray}
 この選んだ4枚を区別して並べるので1 \cdot 4! =24通り

よって、4枚のカードの和が9の倍数となるようなカードの取り出し方は96+96+24=216通り。

4枚のカードの取り出し方は全部で\begin{eqnarray} {}_8 \mathrm{P} _4 &=&1680 \end{eqnarray}通り。

よって、求める確率は
\begin{eqnarray} \frac{216}{1680}&=&\frac{9}{70}\end{eqnarray}


(3)
事象\mathrm{A}を「nが偶数である」、事象\mathrm{B}を「n9の倍数である」としたときの条件付き確率
    \begin{eqnarray} \mathrm{P}_\mathrm{A}(\mathrm{B}) &=& \frac{\mathrm{P}(\mathrm{A} \cap \mathrm{B})}{\mathrm{P}(\mathrm{A})} \end{eqnarray}
を求めればよい。

\mathrm{P}(\mathrm{A})を求める
 nが偶数となるには、一の位の数字が偶数であればよいから、一の位の数字が1以外であればよい。
 よって
  \begin{eqnarray}\mathrm{P}(\mathrm{A})&=&\frac{6}{8}
&=&\frac{3}{4}\end{eqnarray}

\mathrm{P}(\mathrm{A} \cap \mathrm{B})を求める
 (i)(0,0,1,8)のとき
  一の位が0,0,1,8であるものはそれぞれ同じ数だけ存在するので、一の位が0,0,8のいずれかであるものは(0は2つを区別する)
  \begin{eqnarray} 96 \cdot \frac{3}{4} &=& 72 \end{eqnarray}通り

 (ii)(0,2,8,8)のとき
   このとき、どのように並べても作られるnは偶数。よって
   96 \cdot 1=96通り

 (iii)(1,1,8,8)のとき
   一の位が8,8のいずれかであるものは
   \begin{eqnarray} 24 \cdot \frac{2}{4} &=&12 \end{eqnarray}通り

 全取り出し方は(2)と同様に1680通りであるから、
 \begin{eqnarray} \mathrm{P}(\mathrm{A} \cap \mathrm{B}) &=& \frac{72+96+12}{1680}\\
&=& \frac{180}{1680}\\
&=& \frac{3}{28}
\end{eqnarray}

以上より
 \begin{eqnarray} \mathrm{P}_\mathrm{A}(\mathrm{B}) &=& \frac{\mathrm{P}(\mathrm{A} \cap \mathrm{B})}{\mathrm{P}(\mathrm{A})}\\
&=& \frac{3}{28} \cdot \frac{4}{3}\\
&=& \frac{1}{7}\end{eqnarray}




(3)は(2)の場合分けで得られた組み合わせの数からどれくらいの割合、偶数が存在しているのかを考えると楽に計算ができるようになります。
(個人的には入力作業がつらい問題でした)