自作数学問題bot[47]

なんでこんな時間まで起きてるんだろう。

(考察1)
(i)は形からして、相反方程式を連想できなきゃマズいですね。受験生なら。


(解答)
(i)
\begin{eqnarray}t=x+\frac{6}{x}\end{eqnarray}とおくと、\begin{eqnarray}t^2=x^2+\frac{36}{x^2}+12\end{eqnarray}であり、与えられた方程式は
    \begin{eqnarray}x^2-8x+19-\frac{48}{x}+\frac{36}{x^2}&=&0\\
(x^2+\frac{36}{x^2})-8(x+\frac{6}{x})+19&=&0\\
(t^2-12)-8t+19&=&0\\
t^2-8t+7&=&0\\
(t-1)(t-7)&=&0\\
t&=&1,7\\
x+\frac{6}{x}&=&1,7\\
x^2+6&=&x,7x
\end{eqnarray}
よって
    x^2-x+6=0,x^2-7x+6=0
となり、それぞれ
    (x-3)(x+2)=0,(x-1)(x-6)=0
となるから
    x=-2,1,3,6



(考察2)
相反方程式のポイントは上手い置換が思いつくように適当に括ってみることです。与えられた方程式を変形すると
    \begin{eqnarray}x^4-8x^2+12x+7-\frac{48}{x}+\frac{36}{x^2}&=&0\\
x^4-8(x^2+\frac{6}{x})+12x+7+\frac{36}{x^2}&=&0
\end{eqnarray}
となるので\begin{eqnarray}t=x^2+\frac{6}{x}\end{eqnarray}と置換してみると\begin{eqnarray}t^2=x^4+\frac{36}{x^2}+12x\end{eqnarray}となり、与えられた方程式に出てきたようなものがゴロゴロ出てくるので、こいつを使ってみる。



(解答続き)
\begin{eqnarray}t=x^2+\frac{6}{x}\end{eqnarray}とおくと、\begin{eqnarray}t^2=x^4+\frac{36}{x^2}+12x\end{eqnarray}となり、与えられた方程式は
    \begin{eqnarray}x^4-8x^2+12x+7-\frac{48}{x}+\frac{36}{x^2}&=&0\\
x^4+12x+\frac{36}{x^2}-8(x^2+\frac{6}{x})+7&=&0\\
t^2-8t+7&=&0\\
(t-1)(t-7)&=&0\\
t&=&1,7\\
x^2+\frac{6}{x}&=&1,7\\
x^3+6&=&x,7x
\end{eqnarray}
よって
    x^3-x+6=0,x^3-7x+6=0
となり、それぞれ
    (x+2)(x^2-2x+3)=0,(x-1)(x+3)(x-2)=0
となるから、
    x=-3,\pm 2,1,1\pm\sqrt{2}i



(ii)は思いつけば、って感じですが、こういうタイプの置換もあるってことくらいは頭の片隅にあるとよいかもしれませんね!

2018年東京大学理系数学大問2

いろいろ忙しい

2018年東京大学理系数学大問2
数列a_1,a_2,\cdots,を
     \begin{eqnarray}a_n=\frac{_{2n+1}\mathrm{C}_n}{n!}(n=1,2,\cdots)\end{eqnarray}
で定める。
(1)n\ge 2とする。\begin{eqnarray}\frac{a_n}{a_{n-1}}\end{eqnarray}を既約分数\begin{eqnarray}\frac{q_n}{p_n}\end{eqnarray}として表したときの分母p_n\ge 1と分子q_nを求めよ。
(2)a_nが整数となるn\ge 1をすべて求めよ。

(考察1)
(1)で既約分数になっているのを見落とさないように。互いに素を証明するために、ユークリッドの互除法を利用しましょう。コンビネーションの定義を忘れると全部落とします。


(解答)
(1)
\begin{eqnarray}a_n&=&\frac{1}{n!}\cdot \frac{(2n+1)!}{n!(n+1)!}\end{eqnarray}であるから
    \begin{eqnarray}\frac{a_n}{a_{n-1}}&=&\frac{(2n+1)!}{n!n!(n+1)!}\cdot \frac{(n-1)!(n-1)!n!}{(2n-1)!}\\
&=&\frac{(2n+1)\cdot 2}{n\cdot (n+1)}\end{eqnarray}
ここでn(n+1)は2連続整数の積だから、偶数であり
    \begin{eqnarray}\frac{a_n}{a_{n-1}}=\frac{2n+1}{\frac{1}{2}n(n+1)}\end{eqnarray}
としても、分母、分子共に整数になる。
また、
    2n+1=n\cdot 2+1
であるから、2n+1nの最大公約数はn1のそれに等しいから、2n+1nは互いに素。
さらに
    \begin{eqnarray}2n+1&=&(n+1)\cdot 1+n\\
n+1&=&n\cdot 1+1\end{eqnarray}
より、2n+1n+1の最大公約数はn+1nのそれ、またn1のそれに等しいから、2n+1n+1も互いに素。
よって、2n+1\frac{1}{2}n(n+1)は互いに素であり、
    \begin{eqnarray}\frac{a_n}{a_{n-1}}=\frac{2n+1}{\frac{1}{2}n(n+1)}\end{eqnarray}
は既約分数となる
よって
    \begin{eqnarray}p_n&=&2n+1\\
q_n&=&\frac{1}{2}n(n+1)\end{eqnarray}

(2)
(考察2)
(2)はどこに着目するかで大きく解答の方針が変わります。
p_n,q_nに着目すると、a_np_n,q_nで表したときに分子が奇数であることが分かるので、p_nの偶奇を判断してあげることでa_nが整数になるか分数になるかが分かります
\frac{a_n}{a_{n-1}}に着目すると、確率漸化式などでよく見る手法\frac{a_n}{a_{n-1}}<1が思いつくとよいでしょう。明らかにa_nは正なのでa_nが単調減少数列であれば、a_nが整数になりうるnをある程度絞り込めます。

(解答)
(p_n,q_nに着目)
n=1のとき
    \begin{eqnarray}a_1=\frac{_3\mathrm{C}_1}{1!}=3\end{eqnarray}
  となり、整数。
n\ge 2のとき
  (1)より
    \begin{eqnarray}a_n=\frac{p_n}{q_n}a_{n-1}\end{eqnarray}
  であり、これを繰り返し使うと
    \begin{eqnarray}a_n&=&\frac{p_np_{n-1}\cdots p_2}{q_nq_{n-1}\cdots q_2}\cdot a_1\\
&=&\frac{3p_np_{n-1}\cdots p_2}{q_nq_{n-1}\cdots q_2}\end{eqnarray}
  である。
  ここで、q_n=2n+1は常に奇数だからa_nが整数であるとき、a_nの分子は奇数でなければならない。
  つまり、p_nが偶数となってしまうとそれ以降その素因数2が分母に残り続け、整数にならない。
  実際、
    \begin{eqnarray}p_1&=&\frac{1\cdot 2}{2}=1\\
p_2&=&\frac{2\cdot 3}{2}=3\\
p_3&=&\frac{3\cdot 4}{2}=6\end{eqnarray}
  であり、n\ge 3a_nが整数になることはない。
  また、
    \begin{eqnarray}a_2=\frac{_5\mathrm{C}_2}{2!}=\frac{10}{2}=5\end{eqnarray}
  であるから、n=2でのみ整数となる
以上より求める整数は
    n=1,2

(\frac{a_n}{a_{n-1}}に着目)
\begin{eqnarray}\frac{a_n}{a_{n-1}}<1\end{eqnarray}を考える。
    \begin{eqnarray}\frac{a_n}{a_{n-1}}=\frac{2n+1}{\frac{1}{2}n(n+1)}&<&1\\
4n+2&<&n(n+1)\\
2&<&n^2-3n\\
2&<&n(n-3)\end{eqnarray}
よって、n\ge 4\frac{a_n}{a_{n-1}}は単調減少。
    \begin{eqnarray}a_4&=&\frac{_9\mathrm{C}_4}{4!}=\frac{21}{4}\\
a_5&=&\frac{_{11}\mathrm{C}_5}{5!}=\frac{77}{20}\\
a_6&=&\frac{_{13}\mathrm{C}_6}{6!}=\frac{143}{60}\\
a_7&=&\frac{_{15}\mathrm{C}_7}{7!}=\frac{143}{112}\\
a_8&=&\frac{_{17}\mathrm{C}_8}{8!}=\frac{2431}{4032}<1
\end{eqnarray}
となり、a_n>0は明らかだから、n\ge 8ではa_nは整数にならない。
    \begin{eqnarray}a_1&=&\frac{_3\mathrm{C}_1}{1!}=3\\
a_2&=&\frac{_5\mathrm{C}_2}{2!}=5\\
a_3&=&\frac{_7\mathrm{C}_3}{3!}=\frac{35}{6}\\
\end{eqnarray}
だから、求める整数は
    n=1,2



(2)は気づけば前半の解き方のほうが良いですね、ほとんど計算しなくてよいので。でも入試本番だと後半の解き方にすぐ移行できればロスは少なく済むと思います。計算ミスしないように丁寧に計算しなきゃならないですが。あと、「a_nが全然小さくならないけど、どうせ1より下回るだろう」と信じて途中で諦めないメンタルの強さも必要な解法ですね...

2018年東北大学理系数学大問3

整数です。好き。

2018年東北大学理系数学大問3
整数a,bは等式
    3^a-2^b=1        …①
を満たしているとする。
(1)a,bはともに正となることを示せ。
(2)b>1ならば、aは偶数であることを示せ。
(3)①を満たす整数の組(a,b)をすべてあげよ。

誘導が丁寧ですね

(考察)
(1)直接示していくか、背理法で示していくか。個人的には背理法のほうがやりやすいかなと思いますが、これは人それぞれだと思います。
(2)合同式が思いつくと瞬殺できそう。aがの偶奇をテーマにしているので(-1)^aとかの形が出てきたら都合がよさそうですね。うまく法を考えてあげると4が見つかります。
(3)これまでの小問を活かします。(2)がかなり効きます。整数問題の定石「因数分解」が(2)のおかげで使えるようになります。


(解答)
(1)
背理法で示す
a\le 0のとき
    \begin{eqnarray}3^a&\le& 1\\
1+2^b&\le& 1(\because 3^a-2^b=1)\\
2^b&\le& 0\end{eqnarray}
2^b>0よりこれは矛盾。a>0である。
b\le 0のとき
    \begin{eqnarray}2^b&\le& 1\\
3^a-1 &\le& 1(\because 3^a-2^b=1)\\
3^a&\le&2<3^1\end{eqnarray}
aは整数であるからa\le 0だが、上で示したようにa>0だから矛盾。b>0である。
以上よりa,bはともに正となる。

(2)
以下、法を4とする。
bは整数だからb>1とはb\ge 2であるから2^b\ge 4となり、
    2^b\equiv 0
である。
3^a-2^b=1 \Rightarrow 3^a-2^b\equiv 1であるから、
    3^a\equiv 1
である。
また、3\equiv -1であるから、3^a\equiv(-1)^aとなり、a'自然数として
    3^a\equiv \begin{cases}
    1 & (a=2a') \\
    -1 & (a=2a'-1)
  \end{cases}
であるからb>1ならば、aは偶数である。

(3)
(i)b=1のとき
 3^a=3となるからa=1

(ii)b>1つまりb\ge 2のとき
 (2)よりa'自然数としてa=2a'と書ける。
 よって
    \begin{eqnarray}3^a-2^b&=&1\\
3^{2a'}-1&=&2^b\\
(3^{a'}+1)(3^{a'}-1)&=&2^b\end{eqnarray}
 3^{a'}+13^{a'}-1も2以上の整数だから、どちらも素因数は2しか持たない。
 よってk自然数として
    3^{a'}-1=2^k
 とおくと
    \begin{eqnarray}3^{a'}+1&=&2^k+2\\
&=&2(2^{k-1}+1)\end{eqnarray}
 k-1\ge 1のとき、2^{k-1}+1は奇数となってしまい、3^{a'}+1が素因数を2しか持たないことに反する。
 よって、k-1=0すなわちk=1であり、このときa'=1となる。
 これを計算していくと(a,b)=(2,3)が得られる。

(i)(ii)より
    (a,b)=(1,1),(2,3)


なんだかんだ定石通りの問題です。しっかり理解しましょう

2018年東北大学理系数学大問2

得意(笑)程度の実力の確率です。

2018年東北大学理系数学大問2
n2以上、a1以上の整数とする。箱の中に、1からnまでの番号札がそれぞれ1枚ずつ、合計n枚入っている。この箱から、1枚の札を無作為に取り出して元に戻す、という志向をa回繰り返す。ちょうどa回目の試行でそれまでに取り出した札に書かれた数の和がはじめてn以上となる確率をp(a)とする。
(1)p(1)p(n)を求めよ。
(2)p(2)を求めよ。
(3)n3以上の整数のときp(3)を求めよ。

文系数学にも類題が出題されています。
(2)で間違えないようにすることがポイントです。そうしたら、あとは(3)まで一気に得点が獲得できます。こちらも大問1に続いて落としたくない易問。


(考察)
(1)続く小問のヒントになる問題。落とせません。
(2)ポイントは数の和がn以上になる確率であり、nになる確率ではないということです。落とすと雪崩を起こします。
(3)(2)の考え方をそのまま応用してあげればOK。2回目までの和さえ決めてしまえば3枚目に何を引けばよいかが決まるので、2回目までの和で場合分けしてしまえばよいです。


(解答)
(1)
p(1)とは、1回目に取り出したカードがn以上になる確率。つまり、1回目にnが書かれたカードを取り出す確率である。
よって、求める確率は\begin{eqnarray}\frac{1}{n}\end{eqnarray}

またp(n)とは、n回目までに取り出したカードの和がn以上になる確率。つまり、n回の試行すべてにおいて1を取り出す確率である。
よって、求める確率は\begin{eqnarray}(\frac{1}{n})^n\end{eqnarray}

(2)
p(2)とは、2回目までに取り出したカードの和がn以上になる確率。
1回目にkを取り出した場合、2回目はn,n-1,n-2,\cdots,n-k(k+1)種類のカードのいずれかを取り出せばよい。(1\le k \le n-1)
つまり、1回目にkを取り出したときに、2回目までに取り出したカードの和がn以上になる確率は、\begin{eqnarray}\frac{1}{n}\cdot\frac{k+1}{n}=\frac{k+1}{n^2}\end{eqnarray}
p(2)は、1回目に1を取り出す場合と、2を取り出す場合と、\cdotsn-1を取り出す場合とがあるから
    \begin{eqnarray}\displaystyle p(2)&=&\frac{1+1}{n^2}+\frac{2+1}{n^2}+\cdots\frac{(n-1)+1}{n^2}\\
&=&\sum_{k=1}^{n-1}\frac{k+1}{n^2}\\
&=&\frac{1}{n^2}\{\frac{1}{2}(n-1)n+(n-1)\}\\
&=&\frac{(n-1)(n+2)}{2n^2}\end{eqnarray}

(3)
p(3)とは、3回目までに取り出したカードの和がn以上になる確率。
2回目までに取り出したカードの和がkである確率をq(k)とおくと、
2回目までに取り出したカードの和がkであるときに、3回目取り出したカードまでの和がn以上になるためには(2)と同様にn,n-1,n-2,\cdots,n-k(k+1)種類のカードのいずれかを取り出せばよい。(2\le k \le n-1)
よって、2回目までに取り出したカードの和がkであるとき、3回目までに取り出したカードの和がn以上になる確率は\begin{eqnarray}q(k)\cdot \frac{k+1}{n}\end{eqnarray}

ここでq(k)を求める。
カードの取り出し方は(1回目,2回目)=(1,k-1),(2,k-2),\cdots (k-1,1)k-1通りだから
    \begin{eqnarray}q(k)=\frac{k-1}{n^2}\end{eqnarray}
よって
    \begin{eqnarray}\displaystyle p(3)&=&\sum_{k=2}^{n-1}q(k)\frac{k+1}{n}\\
&=&\sum_{k=2}^{n-1}\frac{k-1}{n^2}\cdot\frac{k+1}{n}\\
&=&\frac{1}{n^3}\sum_{k=2}^{n-1}(k-1)(k+1)\\
&=&\frac{1}{n^3}\{\sum_{k=1}^{n-1}(k-1)(k+1)-(1-1)(1+1)\}\\
&=&\frac{1}{n^3}\sum_{k=1}^{n-1}(k-1)(k+1)\\
&=&\frac{1}{n^3}\sum_{k=1}^{n-1}(k^2-1)\\
&=&\frac{1}{n^3}\{\frac{1}{6}(n-1)n(2n-1)-(n-1)\}\\
&=&\frac{(n-1)(2n^2-n+6)}{6n^3}\\
&=&\frac{(n-2)(n-1)(2n+3)}{6n^3}
\end{eqnarray}



(3)の最後のシグマ変形では、
    (k=2からk=n-1までの和)=(k=1からk=n-1までの和)-(k=1の部分)
という考え方で変形しました。
他にもこんな変形でもよいです
(別解)
    \begin{eqnarray}\displaystyle p(3)&=&\frac{1}{n^3}\sum_{k=2}^{n-1}(k-1)(k+1)\end{eqnarray}
ここで、l=k-1とおくと、l1からn-2までを動き、(k-1)(k+1)=l(l+2)となるから
    \begin{eqnarray}\displaystyle p(3)&=&\frac{1}{n^3}\sum_{k=2}^{n-1}(k-1)(k+1)\\
&=&\frac{1}{n^3}\sum_{l=1}^{n-2}l(l+2)\\
&=&\frac{1}{n^3}\sum_{l=1}^{n-2}(l^2+2l)\\
&=&\frac{1}{n^3}\{\frac{1}{6}(n-2)(n-1)(2n-3)+(n-2)(n-1)\}\\
&=&\frac{(n-2)(n-1)}{6n^3}(2n-3+6)\\
&=&\frac{(n-2)(n-1)(2n+3)}{6n^3}
\end{eqnarray}

この変形も覚えておくとよいですね。今回のパターンでは因数分解の必要がほとんどなくなりました。

今年は東北大にしては難化したので、大問1と合わせて完答しておきたい問題でした。